2016年

12月

10日

外国株式の配当と外国税額控除(所得税)

 国内において証券会社等を通じて交付を受ける外国株式(国外において発行された株式)の配当金については、国外で源泉徴収された外国税額がある場合、その外国源泉徴収税額を控除した後の配当金額に対し、国内においても源泉徴収されます。その結果、国外と国内での源泉徴収税額に重なる部分が生じることになります。

 上場外国株式の配当金に対する国内における源泉徴収税率は、国内の上場株式等の配当金と同様に、合計20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率が適用されます。

 外国株式の配当は、国内の証券会社等を通じて取得した場合と、国内の証券会社等を通じて取得していない場合とで、取り扱いが異なります。

 外国株式の配当金について確定申告をする場合、確定申告書に記載する配当金の収入金額は、外国源泉徴収税額および国内源泉徴収税額を控除する前の金額となります。この場合、上場株式の配当金については総合課税または申告分離課税のいずれかにより、非上場株式の配当金については総合課税によることになります。ここで、国外で課税された税額があるときは「外国税額控除」の適用を受けることができます。外国税額控除は、確定申告において国外で課税された税額を国内で課税される税額から控除することにより国際間の二重課税を調整するための措置であり、控除限度額があります。

  

1.国内の証券会社等を通じて取得する外国株式の配当

⑴ 所得源泉地:配当の支払い法人の居住地国(国外)

⑵ 現地(所得源泉地国)における課税

 ①一般的に源泉徴収課税。

 ②一般的に源泉徴収。租税条約により制限税率(15%の国が多い)が定められている。

  所定の手続が必要。

⑶ 日本における課税

 ①所得の種類:配当所得として課税される。

 ②国内の証券会社等が、現地で源泉徴収された後の金額の20.315%を徴収する。

 ③原則として総合課税(一定の上場株式等の配当については申告不要)。

 ④上場株式等以外の場合、一回の配当金額が10万円以下の場合は申告不要。

 ⑤配当控除の適用なし。

 ⑥現地の外国所得税がある場合、確定申告の際に外国税額控除を適用することができる。

 

2.国内の証券会社等を通じないで取得する外国株式の配当

⑴ 所得源泉地:配当の支払い法人の居住地国(国外)

⑵ 現地(所得源泉地国)における課税

 ①一般的に源泉徴収課税。

 ②一般的に源泉徴収。租税条約により制限税率(15%の国が多い)が定められている。

  所定の手続が必要。

⑶ 日本における課税

 ①所得の種類:配当所得として課税される。

 ②必ず確定申告が必要。

 ③配当控除の適用なし。

 ④現地の外国所得税がある場合、確定申告の際に外国税額控除を適用することができる。

2016年

11月

10日

国内法と租税条約

 国内法とは、日本の税法のことであり、法人税法、所得税法、消費税法を始めとする各種の税法のことをいいます。内国法人は、この国内法には必ず従わなければなりません。これに対して、外国法とは、日本以外の諸外国の法令のことであり、税法や他の法令も、その体系や内容は国によって異なりますが、基本的にはその国に進出しない限りは影響のない法律です。

 租税条約とは、二重課税の排除や脱税の防止を目的として、二国間で締結していいる租税に関する条約のことであり、OECDモデル条約という基本的なモデルがあります。ただ、すべての国がそのモデルに従っているわけではなく、各条約により内容は異なっています。租税条約は、国内法と外国法の関係を補完する位置付けにあり、企業にとってはその適用により有利となることが多くなっています。

 日本の場合、国内法よりも租税条約の方が優先され、国内法と租税条約で別の取り扱いが定められていれば租税条約の規定が優先されることになりますが、国によってはそうでないケースも存在します。 

2016年

10月

10日

米国税理士(EA)について

 EAは、Enrolled Agentの略で、直訳すれば”登録代理人”ですが、一般的には、”米国税理士”と訳されることが多いです。米国の内国歳入庁(IRS)が認可する米国の税理士のことで、米国の国家資格です。米国では財務省規則230で、IRSに対し税務代理業務ができるのは、弁護士・公認会計士・EA・登録保険数理士・登録退職年金プラン代理人の5つの資格としています。

 米国税理士と米国公認会計士(U.S.CPA)を比較すると、まず大きな違いは、米国税理士は、連邦の資格で、U.S.CPAは州の資格です。CPAは監査を行い、EAは税務を行うという棲み分けがあります。

 EAの試験は、PartⅠ:個人関係税制、PartⅡ:事業関係税制、PartⅢ:税務代理業務及び諸手続からなっており、科目合格制です。全て英語で行われ、U.S.CPAのTAX科目よりも範囲が広く、細かい点まで問われます。日本の公認会計士試験の租税法と税理士試験との関係によく似ています。

 米国税理士は以下の分野での役割を担うことが求められています。

・日本企業の海外投資及び海外進出に関わる税務業務

・米国企業の対日投資及び日本進出に伴う二国間にまたがる税務業務

・日本在住の米国人の米国への納税申告関連業務

・米国在住の日本人の米国への納税申告関連業務

・二国間税務コンサルティング業務 

2016年

9月

10日

非居住者の所得控除(所得税)

 所得税法では所得控除の制度を設けています。

 これは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。

 それぞれの所得控除の要件に当てはまる場合には、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引きます。

 所得税額は、その残りの金額を基礎として計算されます。

 所得控除の種類は、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除(この控除は女性の場合と男性の場合とで要件に差があります。)、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除(38万円)です。

 日本国内に住所などがない、いわゆる非居住者の場合の所得控除は、上記のうち雑損控除、寄附金控除、基礎控除の三つです。

2016年

8月

10日

恒久的施設(PE)について(所得税)

 非居住者及び外国法人(以下「非居住者等」といいます)に対する課税では、「国内源泉所得」のみが課税対象とされますが、同じ「国内源泉所得」であっても、その支払を受ける非居住者等の「恒久的施設」の有無、その「国内源泉所得」が「恒久的施設」に帰せられる所得かによって、課税関係が異なってきます。

 例えば、「恒久的施設」を有する非居住者に対する使用料等の対価について、その対価が恒久的施設に帰せられる所得である場合は、原則として源泉徴収の上、総合課税の対象とされますが、その対価が恒久的施設に帰せられない所得である場合は、原則として源泉分離課税の対象とされます。また、「恒久的施設」を有しない非居住者に対する使用料等の対価については、源泉分離課税の対象とされます。

 「恒久的施設」という用語は、一般的に、「PE」(Permanent Establishment)と略称されており、次の3つの種類に区分されています。

(1) 支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。ただし、資産を購入したり、保管したり、事業遂行のための補助的活動をしたりする用途のみに使われる場所は含みません。

(2) 建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うもの。

(3) 非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等(代理人等が、その事業に係る業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)。

 日本国内に恒久的施設を有するかどうかを判定するに当たっては、形式的に行うのではなく機能的な側面を重視して判定することになります。例えば、事業活動の拠点となっているホテルの一室は、恒久的施設に該当しますが、単なる製品の貯蔵庫は恒久的施設に該当しないことになります。

2016年

7月

10日

非居住者等に対する課税(所得税)

 所得税法では、個人の納税義務者を「居住者」と「非居住者」に、法人を「内国法人」と「外国法人」とに分けた上で、「非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」といいます。)」に対する課税の範囲を「国内源泉所得に限る」こととされています。

 また、「国内源泉所得」を有する「非居住者等」がどのような「国内源泉所得を有するか、支店や事業所などの「恒久的施設」を有するか否か、「国内源泉所得」が「恒久的施設に帰せられる所得」か否かにより、課税方法が異なります。

 したがって「非居住者等」に該当した場合の課税がどのようになるかを考えるときは、「非居住者等」の収入がどの種類の「国内源泉所得」に該当するか、国内に「恒久的施設」を有するかどうか、さらに「国内源泉所得」が「恒久的施設に帰せられる所得」かどうかを確認することが必要です。

 所得税法においては、その納付すべき税額の課税方式として、申告納税方式と源泉徴収方式が採用されています。

 例えば、恒久的施設を有する非居住者に対する使用料等の対価について、その対価が恒久的施設に帰せられる所得である場合は、源泉徴収の上、申告納税方式を原則としていますが、その対価が恒久的施設に帰せられない所得である場合は、原則として源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が基本となっています。また、「恒久的施設」を有しない非居住者に対する使用料等の対価については、源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税方式が基本となっています。

2016年

6月

10日

居住者と非居住者の区分(所得税)

 所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。

 ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。

 法人については、本店所在地がどこにあるかにより、内国法人又は外国法人の判定が行われます(これを一般に「本店所在地主義」といいます。)。

 租税条約では、日本と異なる規定を置いている国との二重課税を防止するため、個人、法人を含めた居住者の判定方法を定めています。具体的には、それぞれの租税条約によらなければなりませんが、一般的には、次の順序で居住者かどうかを判定します。

 個人については、「恒久的住居」、「利害関係の中心的場所」、「常用の住居」そして「国籍」の順に考えて、どちらの国の「居住者」となるかを決めます。

 法人については、相手国が法人を実質的に管理する場所がどこにあるかにより、内国法人又は外国法人の判定を行っている場合(これを一般に「管理支配地主義」といいます。)には、本店所在地主義と競合することになり、双方居住者の問題が生じますが、その場合には、その法人を実質的に管理する場所のある国の「居住者」とみなすことになります。

2016年

5月

10日

社団法人・財団法人の地方税(不動産取得税・固定資産税・都市計画税)

 不動産取得税は、不動産の取得に対して、その不動産所在の道府県において、固定資産税は、土地、家屋、償却資産の固定資産の所有者に対して、その資産所在の市町村が課す税であり、都市計画税は市町村が都市計画法に基づいて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるため、市街化区域内に所在する土地及び家屋に対して課される税です。

 固定資産税は、納税通知書により、普通年4回(4・7・12月及び翌年2月)に分けて納付します。免税点は、土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円です。

 この不動産取得税・固定資産税及び都市計画税はほぼ同じ取り扱いであり、公益社団法人・公益財団法人が設置する幼稚園、図書館、博物館、学術の研究の用に供する不動産等は非課税とされています。これら以外の施設については、課税の対象になります。

 なお、一般社団法人・一般財団法人については、非課税の取り扱いはありません。

2016年

4月

10日

社団法人・財団法人の地方税(法人住民税及び法人事業税)

 一般社団・財団法人、公益社団・財団法人の課税関係は以下のとおりです。(下図:東京都ホームページより)

 法人税法に掲げられる公益法人等については、収益事業を行わない限り事業税及び法人税割は非課税となっていますが、地方税法により住民税が非課税となっているものを除き、収益事業を行わない場合であっても均等割は課税されます。その場合、毎年4月1日から3月31日までの期間についての均等割を、4月30日までに申告納付します。

 なお、東京都では、収益事業を行わない特定の公益法人等について条例により、都民税均等割の免除を行っています。免除の対象となるのは、公益財団法人、公益社団法人、NPO法人、管理組合法人、団地管理組合法人、マンション建替組合、マンション敷地売却組合等です。

 均等割の免除申請を行う法人は、毎年4月30日までに均等割申告書とあわせて、均等割免除申請書を所管の都税事務所に提出する必要があります。また、公益財団法人、公益社団法人及び特例民法法人の場合は、最近の会計報告書および事業内容に関する資料を添付しなければなりません。  

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2016年

3月

10日

社団法人・財団法人の印紙税

 印紙税は、日常の取引に関連して作成される文書について、別表第一「課税物件表」に掲げたものに対して課税される税であり、公益法人等にとって以下のような取り扱いになっています。

1⑴.公益社団法人・公益財団法人が作成する金銭又は有価証券の受取書

 公益社団法人・公益財団法人は、公益目的事業を行うことを主たる目的とし、営利を目的とする法人ではないことから、その作成する金銭又は有価証券の受取書は、収益事業に関して作成するものであっても、営業に関しない受取書に該当し、非課税となります。

(印紙税法別表第一 課税物件表第17号文書非課税物件欄2)

1⑵.一般社団法人・一般財団法人が作成する金銭又は有価証券の受取書

 印紙税法においては、会社(株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社)以外の法人のうち、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができないものは営業者に該当しないこととされています。

 したがって、この要件に該当する一般社団法人・一般財団法人が作成する金銭又は有価証券の受取書は、収益事業に関して作成するものであっても、営業に関しない受取書に該当し、非課税となります。

(印紙税法別表第一 課税物件表第17号文書非課税物件欄2かっこ書)

2.一般社団法人・一般財団法人が作成する定款

 印紙税法において課税対象としている定款は、会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社)の設立のときに作成する定款の原本に限られています。

 したがって、一般社団法人・一般財団法人が作成する定款については、印紙税の課税対象となりません。

(印紙税法別表第一 課税物件表第6号文書、印紙税法基本通達別表第一 第6号文書の1)

2016年

2月

10日

損益計算書等の提出

 公益法人等(年間の収入金額が8千万円以下の法人及び収益事業を行っていることにより確定申告書を提出している法人を除く)は、損益計算書又は収支計算書を事業年度終了の日の翌日から4月以内に所轄税務署長へ提出しなければなりません。

損益計算書を提出しなければならない法人は、法人税法が公益法人等と定めたものですから、公益社団法人・公益財団法人、非営利型の一般社団法人・一般財団法人がこの制度の適用対象となります。

 法人税法では、「別表第二」において法人税法における公益法人等を規定しており、これらの公益法人等が収益事業を営む場合は、法人税の納付義務があるとして確定申告書を所轄税務署長へ提出するものとしています。この確定申告書には、収益事業と収益事業以外の事業に係る損益計算書等を添付することになっていますが、公益法人等が収益事業を営んでいない場合は、確定申告書の提出は不要です。しかし、課税の適正化を図る目的から、収益事業を営んでいない公益法人等についても損益計算書等の提出義務を負わせています。

2016年

1月

10日

社団法人・財団法人に対する寄付金制度(所得税編)

 個人が特定寄附金を支出した場合には、その支出した年分の所得税の確定申告の際に、寄付金控除(所得控除)又は税額控除の規定の適用(選択適用)を受けることができます。

所得控除は、寄付金額(所得金額の40%が限度)-2,000円であり、税額控除は、{寄付金額(所得金額の40%が限度)-2,000円}×40%(所得金額の25%が限度)です。

 ここで、特定寄附金とは、①国、地方公共団体に対する寄付金(ふるさと納税など)、②公益法人等に対する寄付金のうち財務大臣が指定したもの(指定寄附金)、③特定公益増進法人(日本学生支援機構、日本赤十字社、社会福祉法人、学校法人など)に対する寄付金などのことをいいます。

 また、個人が土地や建物といった財産を法人に寄附(贈与)した場合には、所得税法上、無償の取引であっても、当該資産は、原則として時価により譲渡されたものとみなして、寄付者に対して所得税が課税されることになります。これをみなし譲渡課税といいます。

 しかし、個人が公益法人に対してする財産の寄付にまでみなし課税を行うことは、民間公益事業の保護育成の見地からも妥当ではありません。そこで、公益法人に対する財団の寄付については、一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものに限り、みなし譲渡課税を行わないこととする特例が設けられています。