2020年

7月

10日

解散法人の会社法手続について

1.解散・清算の概要

 会社とは、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいい(会社法2条1号)、会社は法人とされます(3条)。

 解散とは、会社の法人格の消滅を来たすべき原因となる事実をいい、清算とは、会社の法人格の消滅前に、①会社の現務を結了し、②債権を取り立て、債権者に対し債務を弁済し、③株主に対し残余財産を分配するなどの手続をいいます。

 解散に続いて、法律関係の後始末をする手続である清算が行われます。会社の法人格は、合併の場合以外については、解散により直ちに消滅するのではなく(476条、645条)、解散後に行われる清算・破産手続の完了の時に消滅します

 清算の目的は、会社のすべての権利義務を処理して残余財産を株主に分配するところにあり、会社は事業を継続することはできませんし、事業を前提とする諸制度や諸規制は適用されません。

 清算手続中の会社を清算株式会社といい、清算株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなされます(476条)。清算株式会社は、解散前の会社と同一の会社がそのまま継続し、ただその権利能力の範囲が清算を目的とするものに縮小されると考えられています。

2.解散

 株式会社は、株主総会の決議(特別決議309条2項11号)により解散します(471条3号)。株式会社は、事業の全部を譲渡しても当然には解散せず、解散をするためには解散の株主総会の決議が必要です。

 株主総会の決議により解散した場合、代表清算人は2週間以内に、その本店の所在地において、解散の登記をしなければなりません(926条)。解散により、株式会社は、合併及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除いて、清算をしなければなりません(475条1項1号)。

3.清算

⑴ 清算の種類

 清算は、株主及び会社債権者の利害に関係するため、法定の手続きによることを要します(法定清算)が、持分会社のうち合名会社及び合資会社は、社員間に人的信頼関係があり、かつ、社員が解散後も債権者に責任を負うことから(673条)、任意清算が認められています(668条以下)。法定清算は、裁判所の監督に属さない通常清算(475条~509条)と、裁判所の監督に服する特別清算(510条~574条)に分けられます。特別清算は、実質的に破産と並ぶ倒産処理方法の一種です。

⑵ 清算人

 清算株式会社では、株主総会や監査役はそのまま存続しますが、取締役はその地位を失い、清算人がこれに代わることになり、清算事務は清算人が行います。なお、株式は、解散後も自由に譲渡することができます。

 清算人は、定款で定める者又は株主総会の決議によって選任された者がある場合を除いて、解散時の取締役がそのまま清算人になります(法定清算人478条1項1号)。清算人に任期はなく、清算人の地位は、取締役とほぼ同じです(491条)。

⑶ 清算事務

 会社法は、清算人の職務権限として、①現務の結了、②債権の取立て及び債務の弁済、③残余財産の分配を挙げていますが(481条)、これらに限定されるわけではありません。ただし、清算株式会社の権利能力の範囲は縮小されて、清算の目的の範囲内にすぎなくなりますので、事業活動はできません。清算株式会社も、清算事務としてであれば、募集株式、募集新株予約権及び募集社債の発行をすることができますが、剰余金の配当(509条1項2号)や自己株式の取得(同項1号、3項)をすることはできません

 現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済の結果、残余財産があれば、清算株式会社は、株主に対し、原則として持ち株数に比例して分配します。清算株式会社は、債務を弁済した後でなければ、残余財産を株主に分配することはできません(502条)。

⑷ 清算手続

 解散の時点で継続中の事務を完結し、取引関係も完結します。そして、弁済期の到来した債権を取り立て、金銭以外の財産は換価し、債務の弁済をしますが、債権者保護のため、債権申出期間内(499条)は債務の弁済が制限されます(500条、501条)。

 清算株式会社は、清算事務が終了したときは遅滞なく、会社規則150条で定めるところにより、決算報告を作成し(会社法507条1項)、清算人はそれを株主総会に提出して、その承認を受けなければなりません(同項3項、929条1号)。清算株式会社の法人格は、清算事務終了後、上記株主総会の承認を得たときに消滅します(476条参照)。また、清算人は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から10年間帳簿資料を保存しなければなりません(508条1項)。

2020年

1月

10日

解散法人の税務申告手続について

1.普通清算手続

 株式会社は、株主総会の特別決議により解散することになり(会社法472条4号)、この場合、引き続いて清算をしなければなりません(475条1号)。

 清算中の株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまで存続するものとみなされるので(476条)、従前の複雑な機関設置は行われず、通常は株主総会と代表取締役が横滑りした清算人が清算会社の機関となります(477条、478条)。

 清算人は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより解散日における財産目録及び貸借対照表を作成しなければならないこととされています(492条)。税務の場合は、上記の計算書類に加えて、損益計算書と株主資本等変動計算書も作成しなければなりません。

 清算会社は、解散後、遅滞なく、清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内に(2ヶ月以上の期間)その債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者(帳簿上認識できる債権者)には、各別にこれを催告しなければなりません(499条1項)。

 2.解散法人の事業年度

 会社が解散をした場合には、その事業年度開始の日から解散の日までを一つの事業年度とみなし(解散事業年度)、その後は解散の日の翌日から1年ごとの期間が清算中の事業年度(清算事業年度)となります(連結納税の適用を受けている場合を除きます)。また清算中の事業年度の途中で残余財産が確定した場合は、その事業年度の開始の日から残余財産の確定の日までが一つの事業年度(残余財産確定事業年度)となります。

 解散事業年度及び清算事業年度に係る確定申告書の提出期限は事業年度終了の日の翌日から2月以内となります。また確定申告書の提出期限の延長の特例の適用もあります。

 一方、残余財産確定事業年度に係る確定申告書の提出期限は確定した日の翌日から1月以内(その期間内に残余財産の最終分配が行われる場合には行われる日の前日まで)となり、期限延長の特例の適用はありません。

 3.解散法人の所得計算

 解散事業年度の所得金額は通常の事業年度と同じく益金の額から損金の額を控除した金額です。しかしながら、決算期間は12カ月未満となることが多いため、減価償却費など月割計算などが必要となる項目があります。また租税特別措置法で認められている特別償却や準備金の設定など適用できない制度があります。

 清算事業年度の所得金額は通常事業年度と同じく益金の額から損金の額を控除した金額となります。租税特別措置法上の準備金の設定など適用できない制度があります。

また、平成22年税制改正により会社解散における課税方式が財産法から損益法へ改正されています。

 残余財産確定事業年度の所得金額は清算事業年度と同じく益金の額から損金の額を控除した金額となります。解散法人の申告はこの残余財産確定事業年度の確定申告をもって終了しますので、引当金の繰入れができないなど清算事業年度と異なる部分もあります。また、事業税の損金算入については、翌年度が存在しないことから残余財産確定事業年度の事業税等の額はその年度の損金に算入することとなります。

2019年

12月

10日

連結納税の完全子法人株式等に係る受取配当等について

 連結法人が受けた完全子法人株式等に係る受取配当等は、100%の資本関係内での課税済利益の再配分であるため、その全額が益金不算入となります。連結納税における完全子法人株式等とは、支払を受ける配当等の額の直前に支払われた配当等の額のその支払に係る基準日の翌日から、その支払を受ける配当等の額のその支払に係る基準日まで継続して、連結法人がその配当等の額を支払う内国法人との間に完全支配関係を有する場合のその内国法人の株式等など一定の株式等をいいます(法81の45、令155の9)。

 ここでの配当等の計算期間とは、前回の配当等の支払に係る基準日(前回配当基準日)の翌日から今回の配当等の支払に係る基準日(今回配当基準日)までの期間をいいます(令155の9)。ただし、当該配当等がみなし配当(法24)である場合には、その支払効力発生日の前日において、その配当を支払う法人が受領する連結法人との間に完全支配関係がある場合、その株式等は完全子法人株式等に該当します(令155の9①かっこ書)。

 源泉徴収については、完全子法人株式等からの配当であっても特別扱いはされず、原則として20.42%の源泉徴収が必要になりますが、当該金額は所得税額控除の対象になります。

 ただし、法人(公益法人等及び人格のない社団等を除きます。)の株主等が、その法人の資本の払戻し(資本剰余金の額の減少を伴う株式に係る剰余金の配当のうち、分割型分割によるもの以外のものをいいます。)又はその法人の解散による残余財産の分配により金銭その他の資産の交付を受けた場合には、その金銭の額とその他の資産の価額の合計額が、その法人の資本金等の額又は連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となった株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配とみなされ(みなし配当)、その部分だけが課税の対象とされます(所法251、所令611)。

 株主が資本剰余金の区分におけるその他資本剰余金の処分による配当を受けた場合、配当の対象となる有価証券が売買目的有価証券である場合を除き、原則として配当受領額を配当の対象である有価証券の帳簿価額から減額します(企業会計基準適用指針第3号「その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理」。

 また、その他資本剰余金を原資とした剰余金の配当を受ける法人においては、資本金等の額の減少部分に対応する金額が株式の譲渡対価の額とされ、利益積立金額の減少部分に対応する金額(みなし配当の額が受取配当金とされます。ただし、株主側の税務処理は、支払通知書に基づいて、行うことができます。なお、払戻割合(資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額/前期末簿価純資産額)は、配当をした法人から株主に対する通知事項とされています(令119条の9②)。

2019年

10月

10日

連結法人税の個別帰属額の計算について

 連結親法人が国に納付する法人税について、各連結法人は、各連結事業年度の連結所得に対する法人税の負担額として帰せられ、又は法人税の減少額として帰せられる金額(連結法人税の個別帰属額)を計算する必要があります。この場合の負担額として帰せられ、又は減少額として帰せられる金額は、具体的には以下のように計算することになります。

 各連結法人の各連結事業年度の連結法人税の個別帰属額は、次の1又は2により計算することになります。

1.連結親法人の資本金の額又は出資金の額が1億円超の場合(法81の181)

(1) 個別所得金額がある場合

  連結法人税の個別帰属額=(個別所得金額×適用税率+加算調整額)-減算調整額

  又は減算調整額-(個別所得金額×適用税率+加算調整額)

(2) 個別欠損金額がある場合

  連結法人税の個別帰属額 = 加算調整額 - (個別欠損金額 × 適用税率 + 減算調整額)

 又は(個別欠損金額 × 適用税率 + 減算調整額) - 加算調整額

2.連結親法人の資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下である場合又は連結親法人が資本若しくは出資を有しない場合(法81の182)

 上記1の適用税率を「連結所得に対する法人税の額÷連結所得金額」とします。

 ただし、連結所得の金額がない場合の適用税率は、上記の場合の連結所得の金額のうち年800万円以下の金額に対して適用される税率となります。

 ここで、「個別所得金額」とは、個別帰属益金額(その連結事業年度の益金の額のうちその連結法人に帰せられるものの合計額)が個別帰属損金額(その連結事業年度の損金の額のうちその連結法人に帰せられるものの合計額)を超える場合におけるその超える部分の金額をいいます。

 「個別欠損金額」とは、個別帰属損金額が個別帰属益金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいい、その連結事業年度に連結欠損金額が生じる場合にはその超える部分の金額からその連結欠損金額のうちその連結法人に帰せられるものを控除した金額をいいます。

 また、「加算調整額」とは、連結留保税額の個別帰属額など一定の金額の合計額をいいます。

 「減算調整額」とは、所得税額控除額の個別帰属額、外国税額控除額の個別帰属額、連結欠損金の繰戻しによる還付を受ける金額の個別帰属額など一定の金額の合計額をいいます。

 

【連結所得の金額がある場合】

 資本金の額が1億円である連結親法人の個別所得金額が100万円、連結子法人B・C・Dの個別所得金額がそれぞれ100万円、△50万円、△20万円であったときのC社の連結法人税の個別帰属額は、以下のように計算します。

・連結所得金額:100万円+100万円-50万円-20万円=130万円

・連結所得に対する法人税の額:130万円×15.0%=19.5万円

・適用税率:19.5万円÷130万円=15.0%

・C社の連結法人税個別帰属額:△50万円×15.0%=△7.5万円 

 

【連結所得の金額がない場合】

 資本金の額が1億円である連結親法人の個別所得金額が100万円、連結子法人B・C・Dの個別所得金額がそれぞれ100万円、△150万円、△100万円であったときのC社の連結法人税の個別帰属額は、以下のように計算します。

・連結欠損金額:100万円+100万円-150万円-100万円=△50万円

・連結所得に対する法人税の額:0円

・適用税率:15.0%

・各連結法人の個別欠損金額の合計額:△150万円+△100万円=△250万円

・C社の連結欠損金個別帰属額:△50万円×△150万円/△250万円=△30万円

・C社の連結法人税個別帰属額:(△150万円-△30万円)×15%=△18万円

2019年

7月

10日

連結納税適用会社の税効果会計について

 連結納税制度において、連結納税親会社は、連結法人税の個別帰属額に関する書類を確定申告書に添付して提出するとともに、各連結納税子会社は、当該個別帰属額等を記載した書類を届け出ることとされています。

 このように、連結納税制度上、連結納税会社ごとに申告調整額が把握されることから、各連結納税会社の個別財務諸表においては、連結納税制度上の連結個別利益積立金額等に基づいて認識される財務諸表上の一時差異等に対して、法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債並びに法人税等調整額を計算し、個別財務諸表に計上することとなります。

(1) 連結納税主体における税効果会計の適用

① 連結納税会社ごとに、財務諸表上の一時差異等に対して繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

② ①の各連結納税会社の繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を合計するとともに、連結納税主体に係る連結財務諸表固有の一時差異に対して、当該差異が発生した連結納税会社ごとに税効果を認識し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

③ 繰延税金資産のうち、法人税及び地方法人税に係る部分については連結納税主体を一体として回収可能性を判断し、住民税又は事業税に係る部分については連結納税会社ごとに回収可能性を判断した上で各社分を合計する。回収が見込まれない税金の額については、連結財務諸表上、繰延税金資産から控除します。

(2) 連結納税会社の個別財務諸表における税効果会計の適用

① (1)①の財務諸表上の一時差異等に対して、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

② 法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産については、両税合わせて回収可能性を判断します。住民税又は事業税に係る繰延税金資産については、それぞれ区分して回収可能性を判断します。いずれにおいても、回収が見込まれない税金の額については、個別財務諸表上、繰延税金資産から控除します。

(3) 財務諸表上の一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額

 住民税及び事業税に係る税効果は、連結納税制度が導入されていないため連結納税会社ごとに計算されます。一方、連結納税制度を適用する法人税及び地方法人税に係る税効果についても、連結所得及び連結法人税額を連結納税会社ごとに把握できるため、繰延税金資産及び繰延税金負債の金額は、連結納税会社ごとに計算されます。

 財務諸表上の一時差異として認識される金額は、連結納税制度を適用した場合であっても、法人税、地方法人税、住民税及び事業税について基本的に共通であるため、利益に関連する金額を課税標準とする税金の種類ごとに区分して計算する必要はありません。したがって、一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額は、従来どおり、法定実効税率を適用して計算します。ただし、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、税金の種類ごとに行う必要があります。

(4) 欠損金に係る繰延税金資産の金額

 税務上の繰越欠損金は、次のとおり、税金の種類ごとに取扱いが異なるため、繰越欠損金に係る繰延税金資産の金額は、原則として、税金の種類ごとに次に示す税率を適用して計算する必要があります。

① 法人税及び地方法人税

  ・繰越欠損金

   連結欠損金個別帰属額(特定連結欠損金個別帰属額を含む)

  ・適用税率

   法人税率×(1+地方法人税率)/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))

② 住民税

  ・繰越欠損金

   連結欠損金個別帰属額(特定連結欠損金個別帰属額を含む。)

   控除対象個別帰属調整額

   控除対象個別帰属税額

  ・適用税率

   法人税率×住民税率/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))

 ただし、控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額については、住民税率/(1+事業税率)

③ 事業税

  ・繰越欠損金

   欠損金額又は個別欠損金額

  ・適用税率

  ・事業税率/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))