2019年

12月

10日

連結納税の完全子法人株式等に係る受取配当等について

 連結法人が受けた完全子法人株式等に係る受取配当等は、100%の資本関係内での課税済利益の再配分であるため、その全額が益金不算入となります。連結納税における完全子法人株式等とは、支払を受ける配当等の額の直前に支払われた配当等の額のその支払に係る基準日の翌日から、その支払を受ける配当等の額のその支払に係る基準日まで継続して、連結法人がその配当等の額を支払う内国法人との間に完全支配関係を有する場合のその内国法人の株式等など一定の株式等をいいます(法81の45、令155の9)。

 ここでの配当等の計算期間とは、前回の配当等の支払に係る基準日(前回配当基準日)の翌日から今回の配当等の支払に係る基準日(今回配当基準日)までの期間をいいます(令155の9)。ただし、当該配当等がみなし配当(法24)である場合には、その支払効力発生日の前日において、その配当を支払う法人が受領する連結法人との間に完全支配関係がある場合、その株式等は完全子法人株式等に該当します(令155の9①かっこ書)。

 源泉徴収については、完全子法人株式等からの配当であっても特別扱いはされず、原則として20.42%の源泉徴収が必要になりますが、当該金額は所得税額控除の対象になります。

 ただし、法人(公益法人等及び人格のない社団等を除きます。)の株主等が、その法人の資本の払戻し(資本剰余金の額の減少を伴う株式に係る剰余金の配当のうち、分割型分割によるもの以外のものをいいます。)又はその法人の解散による残余財産の分配により金銭その他の資産の交付を受けた場合には、その金銭の額とその他の資産の価額の合計額が、その法人の資本金等の額又は連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となった株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配とみなされ(みなし配当)、その部分だけが課税の対象とされます(所法251、所令611)。

 株主が資本剰余金の区分におけるその他資本剰余金の処分による配当を受けた場合、配当の対象となる有価証券が売買目的有価証券である場合を除き、原則として配当受領額を配当の対象である有価証券の帳簿価額から減額します(企業会計基準適用指針第3号「その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理」。

 また、その他資本剰余金を原資とした剰余金の配当を受ける法人においては、資本金等の額の減少部分に対応する金額が株式の譲渡対価の額とされ、利益積立金額の減少部分に対応する金額(みなし配当の額が受取配当金とされます。ただし、株主側の税務処理は、支払通知書に基づいて、行うことができます。なお、払戻割合(資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額/前期末簿価純資産額)は、配当をした法人から株主に対する通知事項とされています(令119条の9②)。

2019年

10月

10日

連結法人税の個別帰属額の計算について

 連結親法人が国に納付する法人税について、各連結法人は、各連結事業年度の連結所得に対する法人税の負担額として帰せられ、又は法人税の減少額として帰せられる金額(連結法人税の個別帰属額)を計算する必要があります。この場合の負担額として帰せられ、又は減少額として帰せられる金額は、具体的には以下のように計算することになります。

 各連結法人の各連結事業年度の連結法人税の個別帰属額は、次の1又は2により計算することになります。

1.連結親法人の資本金の額又は出資金の額が1億円超の場合(法81の181)

(1) 個別所得金額がある場合

  連結法人税の個別帰属額=(個別所得金額×適用税率+加算調整額)-減算調整額

  又は減算調整額-(個別所得金額×適用税率+加算調整額)

(2) 個別欠損金額がある場合

  連結法人税の個別帰属額 = 加算調整額 - (個別欠損金額 × 適用税率 + 減算調整額)

 又は(個別欠損金額 × 適用税率 + 減算調整額) - 加算調整額

2.連結親法人の資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下である場合又は連結親法人が資本若しくは出資を有しない場合(法81の182)

 上記1の適用税率を「連結所得に対する法人税の額÷連結所得金額」とします。

 ただし、連結所得の金額がない場合の適用税率は、上記の場合の連結所得の金額のうち年800万円以下の金額に対して適用される税率となります。

 ここで、「個別所得金額」とは、個別帰属益金額(その連結事業年度の益金の額のうちその連結法人に帰せられるものの合計額)が個別帰属損金額(その連結事業年度の損金の額のうちその連結法人に帰せられるものの合計額)を超える場合におけるその超える部分の金額をいいます。

 「個別欠損金額」とは、個別帰属損金額が個別帰属益金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいい、その連結事業年度に連結欠損金額が生じる場合にはその超える部分の金額からその連結欠損金額のうちその連結法人に帰せられるものを控除した金額をいいます。

 また、「加算調整額」とは、連結留保税額の個別帰属額など一定の金額の合計額をいいます。

 「減算調整額」とは、所得税額控除額の個別帰属額、外国税額控除額の個別帰属額、連結欠損金の繰戻しによる還付を受ける金額の個別帰属額など一定の金額の合計額をいいます。

 

【連結所得の金額がある場合】

 資本金の額が1億円である連結親法人の個別所得金額が100万円、連結子法人B・C・Dの個別所得金額がそれぞれ100万円、△50万円、△20万円であったときのC社の連結法人税の個別帰属額は、以下のように計算します。

・連結所得金額:100万円+100万円-50万円-20万円=130万円

・連結所得に対する法人税の額:130万円×15.0%=19.5万円

・適用税率:19.5万円÷130万円=15.0%

・C社の連結法人税個別帰属額:△50万円×15.0%=△7.5万円 

 

【連結所得の金額がない場合】

 資本金の額が1億円である連結親法人の個別所得金額が100万円、連結子法人B・C・Dの個別所得金額がそれぞれ100万円、△150万円、△100万円であったときのC社の連結法人税の個別帰属額は、以下のように計算します。

・連結欠損金額:100万円+100万円-150万円-100万円=△50万円

・連結所得に対する法人税の額:0円

・適用税率:15.0%

・各連結法人の個別欠損金額の合計額:△150万円+△100万円=△250万円

・C社の連結欠損金個別帰属額:△50万円×△150万円/△250万円=△30万円

・C社の連結法人税個別帰属額:(△150万円-△30万円)×15%=△18万円

2019年

7月

10日

連結納税適用会社の税効果会計について

 連結納税制度において、連結納税親会社は、連結法人税の個別帰属額に関する書類を確定申告書に添付して提出するとともに、各連結納税子会社は、当該個別帰属額等を記載した書類を届け出ることとされています。

 このように、連結納税制度上、連結納税会社ごとに申告調整額が把握されることから、各連結納税会社の個別財務諸表においては、連結納税制度上の連結個別利益積立金額等に基づいて認識される財務諸表上の一時差異等に対して、法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債並びに法人税等調整額を計算し、個別財務諸表に計上することとなります。

(1) 連結納税主体における税効果会計の適用

① 連結納税会社ごとに、財務諸表上の一時差異等に対して繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

② ①の各連結納税会社の繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を合計するとともに、連結納税主体に係る連結財務諸表固有の一時差異に対して、当該差異が発生した連結納税会社ごとに税効果を認識し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

③ 繰延税金資産のうち、法人税及び地方法人税に係る部分については連結納税主体を一体として回収可能性を判断し、住民税又は事業税に係る部分については連結納税会社ごとに回収可能性を判断した上で各社分を合計する。回収が見込まれない税金の額については、連結財務諸表上、繰延税金資産から控除します。

(2) 連結納税会社の個別財務諸表における税効果会計の適用

① (1)①の財務諸表上の一時差異等に対して、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

② 法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産については、両税合わせて回収可能性を判断します。住民税又は事業税に係る繰延税金資産については、それぞれ区分して回収可能性を判断します。いずれにおいても、回収が見込まれない税金の額については、個別財務諸表上、繰延税金資産から控除します。

(3) 財務諸表上の一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額

 住民税及び事業税に係る税効果は、連結納税制度が導入されていないため連結納税会社ごとに計算されます。一方、連結納税制度を適用する法人税及び地方法人税に係る税効果についても、連結所得及び連結法人税額を連結納税会社ごとに把握できるため、繰延税金資産及び繰延税金負債の金額は、連結納税会社ごとに計算されます。

 財務諸表上の一時差異として認識される金額は、連結納税制度を適用した場合であっても、法人税、地方法人税、住民税及び事業税について基本的に共通であるため、利益に関連する金額を課税標準とする税金の種類ごとに区分して計算する必要はありません。したがって、一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額は、従来どおり、法定実効税率を適用して計算します。ただし、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、税金の種類ごとに行う必要があります。

(4) 欠損金に係る繰延税金資産の金額

 税務上の繰越欠損金は、次のとおり、税金の種類ごとに取扱いが異なるため、繰越欠損金に係る繰延税金資産の金額は、原則として、税金の種類ごとに次に示す税率を適用して計算する必要があります。

① 法人税及び地方法人税

  ・繰越欠損金

   連結欠損金個別帰属額(特定連結欠損金個別帰属額を含む)

  ・適用税率

   法人税率×(1+地方法人税率)/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))

② 住民税

  ・繰越欠損金

   連結欠損金個別帰属額(特定連結欠損金個別帰属額を含む。)

   控除対象個別帰属調整額

   控除対象個別帰属税額

  ・適用税率

   法人税率×住民税率/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))

 ただし、控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額については、住民税率/(1+事業税率)

③ 事業税

  ・繰越欠損金

   欠損金額又は個別欠損金額

  ・適用税率

  ・事業税率/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))

2019年

4月

10日

連結納税の繰越欠損金について

 連結親法人の連結事業年度開始の日9年平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度において生ずる連結欠損金額については10年以内に開始した連結事業年度において生じた連結欠損金額がある場合には、その連結欠損金額に相当する金額は、その各連結事業年度の連結所得の金額の計算において、その連結欠損金額の損金算入前の連結所得の金額として一定の金額の50%連結親法人が中小法人等である場合など一定の場合には100%)に相当する金額(損金算入限度額)を限度として、損金の額に算入されます(法81の9①)。
 また、連結親法人又は連結子法人に係る次の金額など一定の金額は、連結事業年度において生じた連結欠損金額とみなされます(法81の9②)。

①連結親法人の最初の連結事業年度開始の日前9年以内に開始した各事業年度において生じた青色欠損金額等で一定の金額

②特定連結子法人(連結納税の開始又は加入において時価評価を要しないこととされる連結子法人)の最初の連結事業年度開始の日前9年以内に開始した各事業年度において生じた青色欠損金額等で一定の金額

③特定連結子法人(最初の連結事業年度開始の日の前日が連結事業年度終了の日であるものに限ります。)のその開始の日前9年以内に開始した各連結事業年度において生じたその特定連結子法人の連結欠損金個別帰属額

 例えば、連結親法人となるP社と、P社による完全支配関係を有する連結子法人となるS社が連結納税の承認を受けて連結納税を開始する場合、S社は連結納税の開始において時価評価を要しない法人に該当します。
 このとき、P社及びS社に連結納税を開始する前の事業年度において生じた青色欠損金額があるならば、P社の上記①に該当する青色欠損金額及びS社の上記②に該当する青色欠損金額は、連結事業年度において生じた連結欠損金額とみなされ、損金算入限度額の範囲内で連結所得の金額の計算において損金の額に算入されます。