連結納税における合併と清算について

1.連結納税の合併と清算

 連結納税とは、親法人とその親法人による完全支配関係があるすべての子法人を一のグループとして、親法人がそのグループの所得(連結所得)の金額等を一の申告書(連結確定申告書)に記載して法人税の申告・納税を行う制度です。

 連結納税を採用している企業グループで、連結子法人を解散する場合において、合併する場合と清算する場合で会社法及び法人税法の取り扱いが異なります

2.会社法の解散事由

(1)通常の解散

 株式会社が、会社法471条(解散の事由)第1号、第2号及び第3号に規定する事由により解散する場合においては解散の登記の完了をもって解散し、同時に清算手続に入り、清算の結了によって消滅することになります(476条)。解散の登記は、解散する株式会社の第三者に対する対抗要件であるとともに、その解散自体についての要件です。

(2)合併による解散

 株式会社が、会社法471条第4号に規定する事由により解散する場合においては、合併によって消滅する株式会社の権利義務は、合併後存続する株式会社又は合併により設立される株式会社に包括承継され、清算行為を必要としないものですから、合併によって消滅する組合は解散登記の完了をもって解散し、かつ、消滅することとなります。

(3)破産手続開始の決定による解散

 株式会社が、会社法471条第5号に規定する事由により解散する場合においては、破産手続開始の決定により裁判所の監督下に入ることとなり、破産手続により破産管財人によって残務が処理され、清算行為を必要としないものですから、当該株式会社は解散及び破産終結の嘱託登記の完了をもって解散し、かつ、消滅することとなります(破産法35条)。

3.法人税法(連結納税)の取り扱い

(1)みなし事業年度

 合併の場合、みなし事業年度は、その連結事業年度開始の日から合併の日の前日までの期間(法人税法14条1項10号)であり、最終事業年度は、合併の日の前日が連結親法人事業年度終了の日である場合には、連結申告となり、それ以外の場合には、連結法人の単体申告となります(15条の2条1項)。

 清算の場合、みなし事業年度は、その連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間(14条1項10号)であり、最終事業年度は、残余財産の確定の日が連結親法人事業年度終了の日である場合には、連結申告となり、それ以外の場合には、連結法人の単体申告となります(15条の2条1項)。

 連結法人としての単体申告は、連結法人としての取扱いのうち一部が適用れます。

(2) 資産の移転

 合併の場合、100%親子間の合併は適格合併であるため、簿価による譲渡となります(2条12の8号、法人税法施行令4の3条2項)。

 清算の場合、資産の処分損益が益金・損金に算入されます。

(3)債務免除益

 合併の場合、債務免除益は計上されません

 清算の場合、債務免除益が益金に算入されます

(4)繰越欠損金

 合併の場合、最終事業年度において繰越欠損金(連結法人の単体申告の場合)又は連結欠損金個別帰属額(連結申告の場合)が繰越控除されます(法人税法57条6項、81の9条1項、法人税法施行令155の21条2項3号)。

 清算の場合、最終事業年度において繰越欠損金(連結法人の単体申告の場合)又は連結欠損金個別帰属額(連結申告の場合)が繰越控除されます(法人税法57条6項、81の9条1項、法人税法施行令155の21条2項3号)。

(5)特例欠損金

 清算の場合、会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入が認められます(法人税法81の3条、59条2項3項)。

(6)欠損金の繰戻還付

 どちらの場合でも、一部の例外を除いて連結欠損金及び単体欠損金の繰戻還付は適用できません(80条1項4項、81の31条1項4項)。