代表者ブログ REPRESENTATIVE BLOG

2019年

7月

10日

連結納税適用会社の税効果会計について

 連結納税制度において、連結納税親会社は、連結法人税の個別帰属額に関する書類を確定申告書に添付して提出するとともに、各連結納税子会社は、当該個別帰属額等を記載した書類を届け出ることとされています。

 このように、連結納税制度上、連結納税会社ごとに申告調整額が把握されることから、各連結納税会社の個別財務諸表においては、連結納税制度上の連結個別利益積立金額等に基づいて認識される財務諸表上の一時差異等に対して、法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債並びに法人税等調整額を計算し、個別財務諸表に計上することとなります。

(1) 連結納税主体における税効果会計の適用

① 連結納税会社ごとに、財務諸表上の一時差異等に対して繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

② ①の各連結納税会社の繰延税金資産及び繰延税金負債の金額を合計するとともに、連結納税主体に係る連結財務諸表固有の一時差異に対して、当該差異が発生した連結納税会社ごとに税効果を認識し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

③ 繰延税金資産のうち、法人税及び地方法人税に係る部分については連結納税主体を一体として回収可能性を判断し、住民税又は事業税に係る部分については連結納税会社ごとに回収可能性を判断した上で各社分を合計する。回収が見込まれない税金の額については、連結財務諸表上、繰延税金資産から控除します。

(2) 連結納税会社の個別財務諸表における税効果会計の適用

① (1)①の財務諸表上の一時差異等に対して、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算します。

② 法人税及び地方法人税に係る繰延税金資産については、両税合わせて回収可能性を判断します。住民税又は事業税に係る繰延税金資産については、それぞれ区分して回収可能性を判断します。いずれにおいても、回収が見込まれない税金の額については、個別財務諸表上、繰延税金資産から控除します。

(3) 財務諸表上の一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額

 住民税及び事業税に係る税効果は、連結納税制度が導入されていないため連結納税会社ごとに計算されます。一方、連結納税制度を適用する法人税及び地方法人税に係る税効果についても、連結所得及び連結法人税額を連結納税会社ごとに把握できるため、繰延税金資産及び繰延税金負債の金額は、連結納税会社ごとに計算されます。

 財務諸表上の一時差異として認識される金額は、連結納税制度を適用した場合であっても、法人税、地方法人税、住民税及び事業税について基本的に共通であるため、利益に関連する金額を課税標準とする税金の種類ごとに区分して計算する必要はありません。したがって、一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の金額は、従来どおり、法定実効税率を適用して計算します。ただし、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、税金の種類ごとに行う必要があります。

(4) 欠損金に係る繰延税金資産の金額

 税務上の繰越欠損金は、次のとおり、税金の種類ごとに取扱いが異なるため、繰越欠損金に係る繰延税金資産の金額は、原則として、税金の種類ごとに次に示す税率を適用して計算する必要があります。

① 法人税及び地方法人税

  ・繰越欠損金

   連結欠損金個別帰属額(特定連結欠損金個別帰属額を含む)

  ・適用税率

   法人税率×(1+地方法人税率)/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))

② 住民税

  ・繰越欠損金

   連結欠損金個別帰属額(特定連結欠損金個別帰属額を含む。)

   控除対象個別帰属調整額

   控除対象個別帰属税額

  ・適用税率

   法人税率×住民税率/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))

 ただし、控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額については、住民税率/(1+事業税率)

③ 事業税

  ・繰越欠損金

   欠損金額又は個別欠損金額

  ・適用税率

  ・事業税率/(1+事業税率(所得割+地方法人特別税))

2019年

6月

10日

米国所得税の申告期限の延長について

 米国の所得税申告書の提出期限は原則として4月15日です。申告期限までに作成が間に合わず申告書が提出できない場合は、申請によって提出期限の延長(Extension of Time To File Your Tax Return)が認められます。延長申請書(Form 4868)に必要事項を記入して、4月15日までに米国内国歳入庁(IRSへ郵送提出すると、6ヶ月間延長(国外勤務の米国市民はさらに2ヶ月)されて提出期限は10月15日になります。

 この場合、認められるのは申告書の提出期限の延長であって、税金納付の延長でありません。税金不足分は延長申請書に小切手を添付して支払わなければなりません。確定申告書の提出時に確定申告の見積額とそれまでの納付額とを比べて税金の清算をします。延長期限までに申告書を提出するときに還付であれば問題ありませんが、追加納付になる場合は延滞利息が課されます。利率はIRSが3ヶ月ごとに公表するレートを適用します、

 税金不足額が確定申告額の10%を超えた場合には、延滞利息に加えて遅延納付ペナルティ(Late Payment Penalty)が課されます。ペナルティは税金不足額に加えて1ヶ月遅れるごとに税金不足額の0.5%、ただし最高25%です。ペナルティを避けるため、申告期限延長する場合には必ず税額を算出し、税金不足額が生じる場合は延長申請書とともに納付を済ませておくことが必要です。

 また、期限前に申告がない場合、税金不足額に加えて1ヶ月遅れるごとに税金不足額の5%がペナルティ(Late Filing Penalty)として加算、最高25%まで課されます。税金の追徴課税の時効は申告書を提出してから通常3年で成立しますが、25%以上の大幅な申告漏れの場合は6年となります。IRSの税務調査では、領収書や明細書が調査対象となるので、関係ある書類等は少なくとも3年間は大事に保存すべきでしょう。

 州税についても提出期限を延長する必要があります。ほとんどの州では、還付が見込まれて追加納付が発生しない場合、連邦所得税の延長申請書が提出されていれば別途州税の延長申請書を提出する必要がありません。州税の延長申請書を必要とするのは、延長申請時点で追加納税が発生する場合です。

2019年

5月

10日

公益法人の収支相償について

 公益法人の収支相償とは、公益目的事業に係る収入は費用を上回ってはならないという基準のことです。公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないという基準は、公益目的事業は不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものであり、無償又は低廉な価格設定などによって受益者の範囲を可能な限り拡大することが求められることから設けられたものであり、公益法人が税制優遇を受ける前提となる基準です。

 一方で、事業は年度により収支に変動があり、また長期的な視野に立って行う必要があることから、本基準に基づいて単年度で必ず収支が均衡することまで求められているわけではありません。仮にある事業において収入が費用を上回った場合には、将来の当該事業の拡充等に充てるための特定費用準備資金への積立てをもって費用とみなすこと等によって、中長期では収支が均衡することが確認されれば、本基準は充たすものされています。

 なお、公益法人が財政基盤を拡大する手法としては、寄附金を募集することが第一に想定されますが、金融資産の運用によって事業を行う公益法人が、事業の拡大をするために、公益目的保有財産として金融資産を取得することも考えられます。

 また、例えば、剰余金が出ることを前提とした事業計画(予算)を立て、事業計画どおり剰余金が出た場合、年度の前半に多額の剰余金が出ることが客観的に明白であったにもかかわらず、何ら対応を採らないような場合など、意図的又は法人運営上の認識不足によって多額の剰余金が出たような場合は別として、ある年度において剰余金が生じたことのみをもって、「勧告」を受けたり、公益認定を取り消されたりすることはありません。ただし、剰余金が生じた理由、解消方策等について確認するため、報告を求められること等はあり得ます。

 このように公益目的事業に係る収入は費用を上回ってはならないという基準を前提にすれば、短期的には収支がゼロか損失を計上しなければなりませんが、中長期的な視野に立って収支相償を図ることにより、公益目的事業を継続的に実施することができるようになっています。 

(公益法人認定法第5条第6号及び第14条)

(公益法人認定法第2条第4号)

(公益法人認定法施行規則第18条)

2019年

4月

10日

連結納税の繰越欠損金について

 連結親法人の連結事業年度開始の日9年平成30年4月1日以後に開始する連結事業年度において生ずる連結欠損金額については10年以内に開始した連結事業年度において生じた連結欠損金額がある場合には、その連結欠損金額に相当する金額は、その各連結事業年度の連結所得の金額の計算において、その連結欠損金額の損金算入前の連結所得の金額として一定の金額の50%連結親法人が中小法人等である場合など一定の場合には100%)に相当する金額(損金算入限度額)を限度として、損金の額に算入されます(法81の9①)。
 また、連結親法人又は連結子法人に係る次の金額など一定の金額は、連結事業年度において生じた連結欠損金額とみなされます(法81の9②)。

①連結親法人の最初の連結事業年度開始の日前9年以内に開始した各事業年度において生じた青色欠損金額等で一定の金額

②特定連結子法人(連結納税の開始又は加入において時価評価を要しないこととされる連結子法人)の最初の連結事業年度開始の日前9年以内に開始した各事業年度において生じた青色欠損金額等で一定の金額

③特定連結子法人(最初の連結事業年度開始の日の前日が連結事業年度終了の日であるものに限ります。)のその開始の日前9年以内に開始した各連結事業年度において生じたその特定連結子法人の連結欠損金個別帰属額

 例えば、連結親法人となるP社と、P社による完全支配関係を有する連結子法人となるS社が連結納税の承認を受けて連結納税を開始する場合、S社は連結納税の開始において時価評価を要しない法人に該当します。
 このとき、P社及びS社に連結納税を開始する前の事業年度において生じた青色欠損金額があるならば、P社の上記①に該当する青色欠損金額及びS社の上記②に該当する青色欠損金額は、連結事業年度において生じた連結欠損金額とみなされ、損金算入限度額の範囲内で連結所得の金額の計算において損金の額に算入されます。

2019年

3月

10日

米国市民への二重課税の排除について

 米国市民であれば、日本に滞在して日本の居住者であったとしても米国の居住者と同様に、全世界所得課税(日米双方の所得に課税)を受けることになります。つまり、米国市民は課税上、常に米国の居住者として取り扱われ、結果的に米国市民は米国に居住していなくても日米租税条約の対象になります。

 ここで日米租税条約上、居住者とは、「住所、居所、市民権、本店又は主たる事務所の所在地、法人の設立場所その他これらに類する基準において」その国で居住者としての課税(全世界所得課税)を受けるべきものとされる者であり、非居住者とは国内源泉所得のみに課税を受ける者となります。

 日米租税条約には、1条4項において、日米の居住者に対する課税や米国市民に対する米国の課税に影響を及ぼすものではないという、いわゆるセイビング・クルーズ(saving clause)が定められており、米国市民が日本の居住者に該当する場合であっても、日米租税条約の影響を受けずに、米国国内法に基づく課税が行われることになっています。

 こうしたことから日本の居住者である米国市民は、日米で全世界所得課税を受けるという二重課税の問題が生じることになります。日米租税条約では、この二重課税を排除することを主たる目的として、23条において日本の居住者である米国市民が外国税額控除を適用することができる規定が定められています。

 23条では、以下のそれぞれのケースごとに外国税額控除の規定が定められています。

・第1項:日本の居住者が米国で課された税金を控除するケース

・第2項:米国の居住者が日本で課された税金を控除するケース

・第3項:米国市民が米国源泉の所得に対して日本で課された税金を控除するケース

 

 第1項と第2項は、それぞれの国内法に則って、外国税額控除を適用することを正当化しただけのことではありますが、第3項は米国源泉の所得を日本源泉の所得とみなして外国税額控除を適用するという特徴的な規定になっています。

2019年

2月

10日

日米社会保障協定について

 日米社会保障協定とは、「社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」のことであり、平成 17年(2005年)10月1日に施行されました。

 日米社会保障協定が発効する前は、日米間においては、企業等より相手国に一時派遣される被用者等について、日米両国の年金制度および医療保険制度の双方に加入が義務付けられ、社会保険料の二重払いの問題が生じていました。また、相手国における就労期間が短いために年金の受給に必要な期間を満たさず年金を受給できないとの問題が生じていました。

 日米社会保障協定は、日米両国の年金制度および医療保険制度の適用を調整すること、ならびに両国での保険期間を通算してそれぞれの国における年金の受給権を確立することにより、これらの問題を解決することを目的としており、この協定により、派遣期間が 5年以内の一時派遣被用者等は、原則として、派遣元国の年金制度および医療保険制度にのみ加入することとするものです。

 日米社会保障協定によれば、社会保障は原則として、就労している国のみで加入します。例えば、米国で就労して給与所得が発生すれば、連邦社会保障法(Federal Insurance Contribution Act : FICA)に基づいて、米国でソーシャル・セキュリティー税およびメディケア税(Social security taxes and Medicare taxes)が給与所得に課せられます。現在、ソーシャル・セキュリティー税は従業員、雇用主それぞれが給与の6.2%、メディケア税は1.45%となっています。

 

1.日本から米国で就労する場合
 日本の企業から米国にある企業へ派遣・出向されるなどにより、本来であれば日米両国の年金・医療保険制度に加入する義務が生じる場合でも、いずれか一方の国の年金・医療保険制度に加入すればよいこととなります。
 日本の企業から短期間(5年以内と見込まれる場合)米国にある企業へ派遣される場合は、「適用証明書」の交付を受けることで、日本の年金・医療保険制度にのみ加入することとなります。
 米国の年金・医療保険制度への加入が免除されるためには、日本の事業主を通じて、管轄の社会保険事務所において「適用証明書」の交付を受ける必要があります。
 また、米国の年金・医療保険制度にのみ加入する場合は、日本の事業主を通じて、管轄の社会保険事務所や健康保険組合に、日本の年金保険や医療保険の「資格喪失届」を提出する必要があります。

2.米国から日本で就労する場合
 米国にある企業から短期間(5年以内と見込まれる場合)日本の企業に派遣される場合は、米国社会保障庁(Social Security Administration)での手続が必要となりますので、米国の事業主に相談してください。

 

 ここで、日米税制上の違いとして、社会保険料控除の取扱いがあります。日本では、支払った社会保険料は社会保険料控除として、全額所得控除できます。

 これに対して米国では、日本の年金保険料にあたるソーシャル・セキュリティー税や老齢者・障害者向け医療保険料であるメディケア税は、給与支払時に源泉徴収されますが、その金額を項目別控除(Itemized Deductions)として課税所得から控除することはできません(401kプランやIRAなど、退職プランへの拠出は控除可能できます)。この点だけからみても、日本の社会保険制度は他国に比べて優遇されていることがわかります。

2019年

1月

10日

日米租税条約の適用・解釈について

 日米租税条約とは、「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」のことをいいます。条約とは、文書による国家間の合意であり、日本国憲法が国際協調主義(98条2項)を建前としていることから、条約は法律に優位することになります。

 日本の憲法は73条3号ただし書、61条で国会の承認を条約の成立要件に加えており、7条8号の批准も行われていることから、国内的にも国際的にも下記のとおり条約の効力は有効になっています。

  • 平成15年11月6日 ワシントンで署名
  • 平成16年3月19日 国会承認
  • 平成16年3月30日 東京での批准書の交換
  • 平成16年3月30日 公布及び告示(条約第2号及び外務省告示第113号)
  • 平成16年3月30日 効力発生

 以上のことから、租税条約の各規定は国内税法に優先して適用されることが原則とされています。租税条約には、国内税法と異なる所得区分を定め、独自の源泉地規定を設定したり、条約では特別に規定されていないものもあります。

 よって、国内税法に加えて租税条約の各規定の検討が非常に重要になってきます。条約の文言が一般的・抽象的であって、個別的・具体的な適用・解釈が不明確な場合には、財務省・国税庁から公表されている各種ガイダンス・租税条約届出書様式等を参考にして条約の文言上の解釈を明らかにしていくことになります。

 また、この条約は原則としてOECDモデル租税条約を基調としていることから、同条約についてのコメンタリーも解釈の参考となりますし、租税条約は相手国との相互関係に基づくものですから、米国財務省(Department of Treasury)の公式指針等も同様です。

 なお、日本では租税条約を実施するため、関連法令として下記のとおり法律、政令、省令が整備されています。

  • 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(条約実施特例法)
  • 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令(条約実施特例法施行令
  • 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(条約実施特例法省令

2018年

12月

10日

遺言でできることとできないこと

 遺言は、故人の最終的な意思表示であり相続開始と同時に効力が生じます。遺言による相続分の指定は法定相続分に優先します。ただし、最終的な意思とはいえ、遺言では認められないこともあります。また、法定相続に優先する効力を認め、その効力が発生するときには遺言を残した人が亡くなられているため、故人の意思であることを明確にする厳格な方式が定められています。

 

1.遺言でできること

 遺言でできることは、主に相続人に関すること、相続分に関すること、遺産分割に関すること等です。ただし、法定相続人全員が合意し、遺産分割協議をし直せば、遺言に従わなくてもかまいません。

 ① 相続分の指定

 ② 遺産分割方法の指定・遺産分割の禁止

 ③ 遺贈・信託

 ④ 遺言執行者の指定

 ⑤ 相続人廃除の意思表示・相続人廃除の取消の意思表示

 ⑥ 認知・後見人の指定

 2.遺言でできないこと

 ① 相続人の指定

 ② 結婚・離婚(双方の合意が必要であるため)

 ③ 養子縁組・養子縁組の解消

 ④ 遺体解剖・臓器移植

 

 一般的な遺言は、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3種類です。公正証書遺言以外は、遺言者が作成するため、内容が不明確なものや書式が不備で遺言として認められない場合もあります。

 遺言を作成するときは、公正証書遺言が間違いがありません。公証役場で、公証人が作成するため、書式違反や内容が不明で無効になることがなく、自筆証書遺言や秘密証書遺言のように家庭裁判所の検認手続きを受ける必要がありません。

 遺言書を発見した者、保存を依頼された者は、相続開始を知ったら遺言書を開封しないで家庭裁判所に提出します。家庭裁判所は、相続人やその代理人立会いの下に開封し、遺言書の方式や内容を調査し検認調書を作成します。遺言書の保存を確実にし、改変を防止するためです。

 検認手続きを受けずに遺言書を開封しても、遺言が無効になるわけではありませんが、トラブルを避けるためにも必ず検認手続きを受けることをおすすめします。また、検認手続きを受けていない遺言書で不動産等の名義変更をすることはできません。

2018年

11月

10日

不動産登記の概要について

 不動産登記制度とは、不動産登記法第1条にあるように不動産の表題及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度のことであり、この制度により、国民の権利の保全を図り、取引の安全と円滑に資することを目的としています。

 不動産に関する登記は、不動産の表示に関する登記と不動産の権利(所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権及び採石権の9種の権利)に関する登記の2種に大別されます(不動産登記法第3条)。

 この両者の登記は、それぞれ別個独立にされるものであり、前者の不動産の表題に関する登記は、不動産の権利の客体とされる土地及び建物の状況を明確にするための登記として、また、後者の不動産の権利に関する登記は、その権利を第三者に対抗(民法第177条)するための登記としてされるものです。

 登記所において保管する不動産の状況等を公示する公証資料には、土地及び建物の登記事項証明書をはじめ、地図(地図に準ずる図面)、建物所在図、各種図面、閉鎖登記簿、その他の各種諸帳簿等があり、それぞれ分担する役割の下に、不動産の同一性の識別とその状況等を広く提供しています。

 登記記録は、不動産の同一性の識別とその状況及び不動産に関する権利の内容を明らかにする公証資料であり、不動産に関する登記記録は、1筆の土地又は1個の建物ごとに作成されるものです。

 不動産登記法第14条は、「登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする」としており、土地登記記録では、その表題部により土地一筆ごとの地番・地目・地積が明らかにされています。しかしながら、それらの情報だけでは、実際にその土地がどこに位置し、どういう形状をしているかということは判断できません。そこで、登記所に地図を備えることによりそのことを明らかにしようとしています。

2018年

10月

10日

不動産鑑定士について

 税理士や弁護士と比較して不動産鑑定士についてよく知っている人はあまりいないのではないでしょうか。

 不動産鑑定士は、地域の環境や社会情勢など諸条件を考慮して適正な地価等を判断する唯一の資格者であり、また豊富な実務経験と知識を活かして、取引事例の調査・分析及び物件調査· 市場価格などの隣接業務のほか、団体や個人を対象に不動産の利用に関するコンサルティングなどの周辺業務も行っています。

 定期的な鑑定評価のひとつとして、国や都道府県が行う「地価公示」や「都道府県地価調査」「相続税標準地・固定資産税標準宅地の評価」があります。そのほかにも公共用地の取得や裁判上の評価、(不動産を証券化する際の)資産評価なども行っています。
 不動産の取引価格水準や地代家賃等水準の把握、または不動産売買及び担保価値の把握のための調査・分析のほか、不動産投資や処分の判断資料となる調査・分析なども行います。
不動産のエキスパートとして広く個人や企業を対象に、不動産の有効活用、開発計画の策定をはじめとする総合的なアドバ イスを行っています。

 具体的には以下のようなケースにおいて不動産鑑定士が活用されています。

1.不動産を賃貸借するとき
 ビルやマンションなどの家賃の決定には、貸手も借手も納得のいく賃料にすることが必要です。このような家賃のほか、地代、 契約更新料、名義書替料なども鑑定評価の対象です。また、借地権、借家権価格と財産価値判定の根拠としても鑑定評価は役立ちます。
2.相続などで適正な価格が必要なとき
 財産相続で一番問題となるのが土地・建物など、不動産の分配です。鑑定評価を受ければ、適正な価格が把握でき、公平な相続財産の分割をすることができます 。
3.不動産を売買・交換するとき
 「思いどおりの値がつけば手放したい」と思っているときなど、まず、所有する不動産の適正な価格を知っておく必要があります。また不動産を買うとき、交換するときにも、鑑定評価をしておけば、安心して取引をすすめられます。
4.不動産を担保にするとき
 所有する不動産を担保に、事業資金などを借りるとき鑑定評価書があれば、借りられる金額の予測がつくなど便利です。逆に担保を設定するときは、評価額がはっきりしていることが重要です。また、不動産を証券化する場合、不動産鑑定評価書が必要となります。
5.資産評価をするとき
 土地・建物の評価替えをするとき、あるいは現在の資産価格を知りたいとき、鑑定評価が必要となります。不動産の価格は流動的なものだけに、常にそのときどきの価格を把握しておくことが大切です。
6.共同ビルの権利調整や再開発関連の場合
 共同ビルの権利調整や再開発関連の場合は、権利関係が複雑で煩雑なものです。複雑なものをスッキリさせ、無用なトラブルを防ぐためにも、客観的で公平な鑑定評価が必要です。