代表者ブログ REPRESENTATIVE BLOG

2019年

3月

10日

米国市民への二重課税の排除について

 米国市民であれば、日本に滞在して日本の居住者であったとしても米国の居住者と同様に、全世界所得課税(日米双方の所得に課税)を受けることになります。つまり、米国市民は課税上、常に米国の居住者として取り扱われ、結果的に米国市民は米国に居住していなくても日米租税条約の対象になります。

 ここで日米租税条約上、居住者とは、「住所、居所、市民権、本店又は主たる事務所の所在地、法人の設立場所その他これらに類する基準において」その国で居住者としての課税(全世界所得課税)を受けるべきものとされる者であり、非居住者とは国内源泉所得のみに課税を受ける者となります。

 日米租税条約には、1条4項において、日米の居住者に対する課税や米国市民に対する米国の課税に影響を及ぼすものではないという、いわゆるセイビング・クルーズ(saving clause)が定められており、米国市民が日本の居住者に該当する場合であっても、日米租税条約の影響を受けずに、米国国内法に基づく課税が行われることになっています。

 こうしたことから日本の居住者である米国市民は、日米で全世界所得課税を受けるという二重課税の問題が生じることになります。日米租税条約では、この二重課税を排除することを主たる目的として、23条において日本の居住者である米国市民が外国税額控除を適用することができる規定が定められています。

 23条では、以下のそれぞれのケースごとに外国税額控除の規定が定められています。

・第1項:日本の居住者が米国で課された税金を控除するケース

・第2項:米国の居住者が日本で課された税金を控除するケース

・第3項:米国市民が米国源泉の所得に対して日本で課された税金を控除するケース

 

 第1項と第2項は、それぞれの国内法に則って、外国税額控除を適用することを正当化しただけのことではありますが、第3項は米国源泉の所得を日本源泉の所得とみなして外国税額控除を適用するという特徴的な規定になっています。

2019年

2月

10日

日米社会保障協定について

 日米社会保障協定とは、「社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」のことであり、平成 17年(2005年)10月1日に施行されました。

 日米社会保障協定が発効する前は、日米間においては、企業等より相手国に一時派遣される被用者等について、日米両国の年金制度および医療保険制度の双方に加入が義務付けられ、社会保険料の二重払いの問題が生じていました。また、相手国における就労期間が短いために年金の受給に必要な期間を満たさず年金を受給できないとの問題が生じていました。

 日米社会保障協定は、日米両国の年金制度および医療保険制度の適用を調整すること、ならびに両国での保険期間を通算してそれぞれの国における年金の受給権を確立することにより、これらの問題を解決することを目的としており、この協定により、派遣期間が 5年以内の一時派遣被用者等は、原則として、派遣元国の年金制度および医療保険制度にのみ加入することとするものです。

 日米社会保障協定によれば、社会保障は原則として、就労している国のみで加入します。例えば、米国で就労して給与所得が発生すれば、連邦社会保障法(Federal Insurance Contribution Act : FICA)に基づいて、米国でソーシャル・セキュリティー税およびメディケア税(Social security taxes and Medicare taxes)が給与所得に課せられます。現在、ソーシャル・セキュリティー税は従業員、雇用主それぞれが給与の6.2%、メディケア税は1.45%となっています。

 

1.日本から米国で就労する場合
 日本の企業から米国にある企業へ派遣・出向されるなどにより、本来であれば日米両国の年金・医療保険制度に加入する義務が生じる場合でも、いずれか一方の国の年金・医療保険制度に加入すればよいこととなります。
 日本の企業から短期間(5年以内と見込まれる場合)米国にある企業へ派遣される場合は、「適用証明書」の交付を受けることで、日本の年金・医療保険制度にのみ加入することとなります。
 米国の年金・医療保険制度への加入が免除されるためには、日本の事業主を通じて、管轄の社会保険事務所において「適用証明書」の交付を受ける必要があります。
 また、米国の年金・医療保険制度にのみ加入する場合は、日本の事業主を通じて、管轄の社会保険事務所や健康保険組合に、日本の年金保険や医療保険の「資格喪失届」を提出する必要があります。

2.米国から日本で就労する場合
 米国にある企業から短期間(5年以内と見込まれる場合)日本の企業に派遣される場合は、米国社会保障庁(Social Security Administration)での手続が必要となりますので、米国の事業主に相談してください。

 

 ここで、日米税制上の違いとして、社会保険料控除の取扱いがあります。日本では、支払った社会保険料は社会保険料控除として、全額所得控除できます。

 これに対して米国では、日本の年金保険料にあたるソーシャル・セキュリティー税や老齢者・障害者向け医療保険料であるメディケア税は、給与支払時に源泉徴収されますが、その金額を項目別控除(Itemized Deductions)として課税所得から控除することはできません(401kプランやIRAなど、退職プランへの拠出は控除可能できます)。この点だけからみても、日本の社会保険制度は他国に比べて優遇されていることがわかります。

2019年

1月

10日

日米租税条約の適用・解釈について

 日米租税条約とは、「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」のことをいいます。条約とは、文書による国家間の合意であり、日本国憲法が国際協調主義(98条2項)を建前としていることから、条約は法律に優位することになります。

 日本の憲法は73条3号ただし書、61条で国会の承認を条約の成立要件に加えており、7条8号の批准も行われていることから、国内的にも国際的にも下記のとおり条約の効力は有効になっています。

  • 平成15年11月6日 ワシントンで署名
  • 平成16年3月19日 国会承認
  • 平成16年3月30日 東京での批准書の交換
  • 平成16年3月30日 公布及び告示(条約第2号及び外務省告示第113号)
  • 平成16年3月30日 効力発生

 以上のことから、租税条約の各規定は国内税法に優先して適用されることが原則とされています。租税条約には、国内税法と異なる所得区分を定め、独自の源泉地規定を設定したり、条約では特別に規定されていないものもあります。

 よって、国内税法に加えて租税条約の各規定の検討が非常に重要になってきます。条約の文言が一般的・抽象的であって、個別的・具体的な適用・解釈が不明確な場合には、財務省・国税庁から公表されている各種ガイダンス・租税条約届出書様式等を参考にして条約の文言上の解釈を明らかにしていくことになります。

 また、この条約は原則としてOECDモデル租税条約を基調としていることから、同条約についてのコメンタリーも解釈の参考となりますし、租税条約は相手国との相互関係に基づくものですから、米国財務省(Department of Treasury)の公式指針等も同様です。

 なお、日本では租税条約を実施するため、関連法令として下記のとおり法律、政令、省令が整備されています。

  • 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(条約実施特例法)
  • 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令(条約実施特例法施行令
  • 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(条約実施特例法省令

2018年

12月

10日

遺言でできることとできないこと

 遺言は、故人の最終的な意思表示であり相続開始と同時に効力が生じます。遺言による相続分の指定は法定相続分に優先します。ただし、最終的な意思とはいえ、遺言では認められないこともあります。また、法定相続に優先する効力を認め、その効力が発生するときには遺言を残した人が亡くなられているため、故人の意思であることを明確にする厳格な方式が定められています。

 

1.遺言でできること

 遺言でできることは、主に相続人に関すること、相続分に関すること、遺産分割に関すること等です。ただし、法定相続人全員が合意し、遺産分割協議をし直せば、遺言に従わなくてもかまいません。

 ① 相続分の指定

 ② 遺産分割方法の指定・遺産分割の禁止

 ③ 遺贈・信託

 ④ 遺言執行者の指定

 ⑤ 相続人廃除の意思表示・相続人廃除の取消の意思表示

 ⑥ 認知・後見人の指定

 2.遺言でできないこと

 ① 相続人の指定

 ② 結婚・離婚(双方の合意が必要であるため)

 ③ 養子縁組・養子縁組の解消

 ④ 遺体解剖・臓器移植

 

 一般的な遺言は、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3種類です。公正証書遺言以外は、遺言者が作成するため、内容が不明確なものや書式が不備で遺言として認められない場合もあります。

 遺言を作成するときは、公正証書遺言が間違いがありません。公証役場で、公証人が作成するため、書式違反や内容が不明で無効になることがなく、自筆証書遺言や秘密証書遺言のように家庭裁判所の検認手続きを受ける必要がありません。

 遺言書を発見した者、保存を依頼された者は、相続開始を知ったら遺言書を開封しないで家庭裁判所に提出します。家庭裁判所は、相続人やその代理人立会いの下に開封し、遺言書の方式や内容を調査し検認調書を作成します。遺言書の保存を確実にし、改変を防止するためです。

 検認手続きを受けずに遺言書を開封しても、遺言が無効になるわけではありませんが、トラブルを避けるためにも必ず検認手続きを受けることをおすすめします。また、検認手続きを受けていない遺言書で不動産等の名義変更をすることはできません。

2018年

11月

10日

不動産登記の概要について

 不動産登記制度とは、不動産登記法第1条にあるように不動産の表題及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度のことであり、この制度により、国民の権利の保全を図り、取引の安全と円滑に資することを目的としています。

 不動産に関する登記は、不動産の表示に関する登記と不動産の権利(所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権及び採石権の9種の権利)に関する登記の2種に大別されます(不動産登記法第3条)。

 この両者の登記は、それぞれ別個独立にされるものであり、前者の不動産の表題に関する登記は、不動産の権利の客体とされる土地及び建物の状況を明確にするための登記として、また、後者の不動産の権利に関する登記は、その権利を第三者に対抗(民法第177条)するための登記としてされるものです。

 登記所において保管する不動産の状況等を公示する公証資料には、土地及び建物の登記事項証明書をはじめ、地図(地図に準ずる図面)、建物所在図、各種図面、閉鎖登記簿、その他の各種諸帳簿等があり、それぞれ分担する役割の下に、不動産の同一性の識別とその状況等を広く提供しています。

 登記記録は、不動産の同一性の識別とその状況及び不動産に関する権利の内容を明らかにする公証資料であり、不動産に関する登記記録は、1筆の土地又は1個の建物ごとに作成されるものです。

 不動産登記法第14条は、「登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする」としており、土地登記記録では、その表題部により土地一筆ごとの地番・地目・地積が明らかにされています。しかしながら、それらの情報だけでは、実際にその土地がどこに位置し、どういう形状をしているかということは判断できません。そこで、登記所に地図を備えることによりそのことを明らかにしようとしています。

2018年

10月

10日

不動産鑑定士について

 税理士や弁護士と比較して不動産鑑定士についてよく知っている人はあまりいないのではないでしょうか。

 不動産鑑定士は、地域の環境や社会情勢など諸条件を考慮して適正な地価等を判断する唯一の資格者であり、また豊富な実務経験と知識を活かして、取引事例の調査・分析及び物件調査· 市場価格などの隣接業務のほか、団体や個人を対象に不動産の利用に関するコンサルティングなどの周辺業務も行っています。

 定期的な鑑定評価のひとつとして、国や都道府県が行う「地価公示」や「都道府県地価調査」「相続税標準地・固定資産税標準宅地の評価」があります。そのほかにも公共用地の取得や裁判上の評価、(不動産を証券化する際の)資産評価なども行っています。
 不動産の取引価格水準や地代家賃等水準の把握、または不動産売買及び担保価値の把握のための調査・分析のほか、不動産投資や処分の判断資料となる調査・分析なども行います。
不動産のエキスパートとして広く個人や企業を対象に、不動産の有効活用、開発計画の策定をはじめとする総合的なアドバ イスを行っています。

 具体的には以下のようなケースにおいて不動産鑑定士が活用されています。

1.不動産を賃貸借するとき
 ビルやマンションなどの家賃の決定には、貸手も借手も納得のいく賃料にすることが必要です。このような家賃のほか、地代、 契約更新料、名義書替料なども鑑定評価の対象です。また、借地権、借家権価格と財産価値判定の根拠としても鑑定評価は役立ちます。
2.相続などで適正な価格が必要なとき
 財産相続で一番問題となるのが土地・建物など、不動産の分配です。鑑定評価を受ければ、適正な価格が把握でき、公平な相続財産の分割をすることができます 。
3.不動産を売買・交換するとき
 「思いどおりの値がつけば手放したい」と思っているときなど、まず、所有する不動産の適正な価格を知っておく必要があります。また不動産を買うとき、交換するときにも、鑑定評価をしておけば、安心して取引をすすめられます。
4.不動産を担保にするとき
 所有する不動産を担保に、事業資金などを借りるとき鑑定評価書があれば、借りられる金額の予測がつくなど便利です。逆に担保を設定するときは、評価額がはっきりしていることが重要です。また、不動産を証券化する場合、不動産鑑定評価書が必要となります。
5.資産評価をするとき
 土地・建物の評価替えをするとき、あるいは現在の資産価格を知りたいとき、鑑定評価が必要となります。不動産の価格は流動的なものだけに、常にそのときどきの価格を把握しておくことが大切です。
6.共同ビルの権利調整や再開発関連の場合
 共同ビルの権利調整や再開発関連の場合は、権利関係が複雑で煩雑なものです。複雑なものをスッキリさせ、無用なトラブルを防ぐためにも、客観的で公平な鑑定評価が必要です。

2018年

9月

10日

財産評価(課税価格)について

 相続、遺贈または贈与が発生した場合において、相続税や贈与税を計算するためには取得した財産の価値、つまり課税価格を把握しなければなりません。この課税価格の計算に当たっては、取得した財産をいくらに見積もるかという「財産の評価」が必要になります。

 相続税法では、財産の評価に関しては、地上権、永小作権、定期金に関する権利等の財産についてはその評価方法が規定されていますが、その他の財産については「時価」により評価する(相続税法第22条)旨だけが規定され、「時価」の内容は財産評価基本通達を含んだ法律の解釈に委ねられています。

 ただし、財産評価基本通達は法律ではなく、あくまでも時価の算定方法の指針を示したものにすぎません。したがって、財産評価基本通達は基本的な計算方法である一方、これ以外の評価方法も認められる可能性が高いということがいえます。

 ここで重要なのは、上記の「これ以外の評価方法」とは何かが問題となることでです。これは、不動産であれば、一般的に不動産鑑定評価を指すため、ここに財産評価において税理士が鑑定評価の活用方法を理解しなければならない必然性があります。

 不動産の鑑定評価に関する法律において、不動産鑑定評価とは、「土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」と規定されています。

 また、不動産鑑定士が準拠すべき不動産鑑定評価の実務指針である不動産鑑定評価基準では、不動産の鑑定評価について、「不動産の鑑定評価は、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することである」とされ、さらに、「これらが有機的かつ総合的に発揮できる練達堪能な専門家によってなされるとき、初めて合理的であって、客観的に論証できるものとなる」と指摘しています。

 つまり、不動産の鑑定評価は不動産の経済価値を金銭に見積もる行為全般を指し、専門家である不動産鑑定士が行うことによりはじめて財産評価における評価方法として認められるものであるといえます。

2018年

8月

10日

米国申告書作成者番号(PTIN)について

 米国申告書作成者番号(Preparer Tax Identification Numberとは、米国で報酬を得て申告書を作成する者に要求される番号であり、すべての米国税理士(Enrolled agents)はこの番号を取得する必要があります。

 米国申告書作成者番号を取得するにあたっては、以下の情報が必要になります。

・社会保障番号(Social Security Number

・個人情報(名前、メールアドレス、誕生日)

・勤務先情報(名称、メールアドレス、電話番号)

・前年の所得税申告書(名前、住所、申告ステイタス)

・犯罪歴(あれば)

・所得税や法人税の滞納(あれば)

・適用される米国専門家情報(登録番号や所属、有効期間を含む公認会計士、弁護士、税理士、登録退職年金プラン、登録保険数理士、登録受入代理人州ライセンスの情報)

 また、米国で報酬を得て申告書を作成する者は、翌年申告書を作成する前に米国申告書作成者番号を更新する必要があり、米国税理士も同様です。更新に際しては、米国内国歳入庁(Internal Revenue Service)からメール通知がされますので、オンラインにより手続きを行うことが可能です。更新手続きは以下の3つのステップがあります。

1.アカウントにアクセスする

 既に登録済みのアカウントにアクセスします。

2.登録情報を更新する

・個人情報(名前、メールアドレス)

・勤務先情報(名称、メールアドレス)

・犯罪歴(あれば)

・所得税や法人税の滞納(あれば)

・適用される米国専門家情報(登録番号や所属、有効期間を含む公認会計士、弁護士、税理士、登録退職年金プラン、登録保険数理士、登録受入代理人州ライセンスの情報)

3.米国申告書作成者番号の更新確定

 これまでの内容に間違いがなければオンラインで更新の確定を行います。更新が確定されればその確定が通知されます。

 このように米国申告書作成者番号をオンラインで更新する場合には通常15分もあれば完了し、更新料は無料です。更新は紙によることも可能ですが、Form W-12を提出する必要があり、更新には4~6週間かかります。

2018年

7月

10日

米国の修正申告(Amended Return)について

 米国では、確定申告書を提出した後に誤りを発見した場合には、修正申告書(Amending Tax Return)を提出することによって訂正を行うことができます。

 米国内国歳入庁(Internal Revenue Service)に対して修正申告書を提出するにあたっては、以下の10つの点に注意してください。

1.修正申告が求められるとき

 申請ステイタス、扶養家族数、所得総額、所得控除または税額控除を訂正する必要がある場合は、修正申告書を提出する必要があります。 米国個人所得税修正申告書(Form 1040X)には、修正する理由を記載する欄があります。

2.修正申告をしないとき

 確定申告書の修正をしないときには、場合によっては、確定申告書を修正する必要はありません。例えば米国内国歳入庁は通常、確定申告書をチェックして計算ミスを訂正します。もし必要な本表(Form)や別表(Schedule)が提出されていない場合、米国内国歳入庁から何が足りないかについて連絡が入ることになります。

3.修正申告をするとき

 Form 1040Xを使用して、以前に提出したForm 1040、1040A、1040EZ、1040NRまたは1040NR-EZを修正します。 この場合、Form 1040X修正する課税年度にチェックを入れます。修正申告書は電子申告することはできず、用紙に記入して提出する必要があります。

4.複数年にわたる修正をするとき

 修正申告書を複数年にわたって提出する場合は、1年ごとにForm 1040Xを別途用意してそれぞれ適切な米国内国歳入庁の処理センターに別の封筒で郵送してください。提出先は米国内国歳入庁の処理手順書に記載されています。

5.Form 1040Xについて

 Form 1040Xには3つの記入欄があります。 A欄は元の確定申告書の数値を示します。 B欄には修正内容(A欄とB欄の差額)が表示されます。 C欄は修正後の数値が示されます。また、修正内容と修正理由を説明する記入欄もあります。

6.その他の本表や別表(Forms or Schedules

 変更内容に他の別表や本表が含まれている場合には、Form 1040Xに添付してください。 これをしないと、処理が遅れることになります。

7.他の還付のための修正申告

 他の還付のための修正申告をしている場合には、その還付金を受け取った後でなければ修正申告書を提出してはいけません。

8.過少申告のための修正申告

 過少申告のため修正申告書を提出する場合には、利子税や加算税がかかるため、できるだけ早くForm 1040Xを提出して、税金を支払う必要があります。

9.修正申告ができる期間

 還付を請求するには、通常、元の確定申告書を提出した日から、または税金を支払った日から2年以内のいずれか遅い日から3年以内に、Form 1040Xを提出する必要があります。
10.処理日数
 修正申告書の通常の処理には、8〜12週間かかります。

 これに対して日本では、確定申告書の訂正についてケースごとに2つの手続きが存在します。納める税金が多すぎた場合や還付される税金が少なすぎた場合には、「更正の請求」を行います。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。また、納める税金が少なすぎた場合や還付される税金が多すぎた場合には、「修正申告」を行います。

2018年

6月

10日

米国の損益通算ルールについて

 米国には、税務上申告する年度に発生した他の所得と損益通算できる損失制限について①受動的活動のルール(Passive Activity Rules)と②危険負担のルール(At-Risk Rules)の2つのルールが存在します。

 ①受動的活動のルールは、納税者が実質的に参加していない(not materially participate)事業活動に適用されます。この場合における納税者は、単に投資から得られるリターンのみを期待している投資家のことをいいます。納税者が実質的に参加していない事業活動は税務上受動的活動とされ、賃貸活動は、不動産業者でない限り受動的活動とみなされます。このルールは、個人(individual)および閉鎖会社(closely held corporation)、人的役務提供法人(personal service corporation)に適用されます。

 ここで、閉鎖会社とは個人的所有会社のことであり、5人以下の株主で株式の50%超を保有している小規模な法人のことをいいます。また、人的役務提供法人とは、従業員株主が人的役務(医療、法務、技術、設計、会計、保険数理、芸術、コンサルティング)を提供する法人のことをいいます。

 受動的活動のルールは、受動的活動以外の所得と受動的活動の損失の相殺を制限するルールであり、換言すれば受動的活動の損失は受動的活動の所得としか相殺できません。他の受動的活動の所得と相殺できなかった損失は、翌年度以降に繰り越すことは可能です。

 ここで、受動的活動以外の所得とは、給与所得といった能動的所得(active income)や利子所得、配当所得、ロイヤルティ所得といった投資関連所得(portfolio income)のことを指します。このように米国では税務上、所得は投資関連所得、能動的所得、受動的所得の3区分に分類されています。

 ②危険負担のルールは、事業や投資活動から生じた損失の控除は、負担されたリスクの金額までしか控除できないというルールのことです。このルールは、個人および閉鎖会社に適用されます。

 例えば、米国には通常のC法人(C-corporation)と小規模なS法人(S-corporation)がありますが、S法人に100万円の投資をして、唯一の株主兼従業員である場合において、200万円の損失を被った場合であっても、その損失は他の所得と100万円までしか損益通算することはできません。ただし、損益通算できなかった損失は将来に繰り越すことは可能です。

 危険負担のルールは、事業活動における納税者の投資(investment)に関するものである一方、受動的活動のルールは事業活動における納税者の参加(participation)に関するものであり、相互に関連していますが、受動的活動のルールを適用する前に危険負担のルールを適用するという関係にあります。