源泉所得税の納期の特例と不納付加算税について

 給与、報酬などの特定の所得の支払者が、その所得の支払をする際に、所定の方法により所得税額を計算し、支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付する制度を、「源泉徴収制度」といいます。

 源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっていますが、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を行うことにより、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者は、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税について、次のように年2回にまとめて納付できるという特例制度を受けることができます。

・1月から06月までに支払った所得から源泉徴収をした分:当年7月10日

・7月から12月までに支払った所得から源泉徴収をした分:翌年1月20日

 ここで、源泉徴収等による国税が法定期限内に納付されなかった場合について、国税通則法第67条には、以下のように規定されています。

 「源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかった場合には、税務署長又は税関長は、当該納税者から、納税の告知(第36条第1項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)をいう。次項において同じ。)に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。

2 源泉徴収等による国税が納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があったことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないときは、その納付された税額に係る前項の不納付加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付された税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額とする。

3 第1項の規定は、前項の規定に該当する納付がされた場合において、その納付が法定納期限までに納付する意思があったと認められる場合として政令で定める場合に該当してされたものであり、かつ、当該納付に係る源泉徴収等による国税が法定納期限から1月を経過する日までに納付されたものであるときは、適用しない。」

 納期の特例を受けている場合、不納付加算税の対象金額が半年分と多くなりますが、同条第2項では、納税の告知を受けることなく自主的に納付した場合は、10%ではなく、5%の不納付加算税が課せられ、同条第1項及び第3項では、①正当な理由があると認められる場合、②法定納期限までに納付する意思があったと認められ、かつ1月以内に納付した場合には、不納付加算税が課されないこととされています。

 ①の正当な理由があると認められる場合とは、例えば、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由のない場合や災害、交通・通信の途絶その他法定納期限内に納付しなかったことについて真にやむを得ない事由があると認められる場合ですが、税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくものはこれに当たりません(事務運営指針)。

 ②の期限内申告書を提出する意思等があったと認められる場合とは、法定納期限の属する月の前月の末日から起算して1年前の日までの間に法定納期限が到来する源泉徴収等による国税について、納税の告知を受けたことがなく、かつ納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された事実がない場合をいいます(同法施行令第27条の2)。