不動産売買契約における固定資産税清算金の消費税について

 消費税の課税の対象は、国内において事業者が行った資産の譲渡等及び特定仕入れです。

 資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいい(消費税法2条Ⅰ⑧、Ⅱ)、特定資産の譲渡等に該当するものは除かれます(4条Ⅰ括弧書)。 

 したがって、課税の対象となる資産の譲渡等は、次に掲げる①~⑤の全ての要件を満たす取引をいいます。

① 国内において行う取引(国内取引)であること

② 事業者が事業として行うものであること

③ 対価を得て行うものであること(代物弁済等、みなし譲渡を含む。)

④ 資産の譲渡、貸付け及び役務の提供であること

⑤ 特定資産の譲渡等に該当しないこと

 ここで、「事業者」とは、事業を行う個人及び法人をいい(2条Ⅰ③、④)、「事業として行う」とは、資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供を反復、継続、かつ、独立して行うことをいい、事業に使用していた資産の売却など事業活動に付随して行われる取引もこれに含まれます(同法施行令2条Ⅲ)。

 また、「資産の譲渡等」とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいいます(2条Ⅰ⑧)。

 さらに、「特定資産の譲渡等」とは、「事業者向け電気通信利用役務の提供」及び「特定役務の提供」をいいます(2条Ⅰ⑧の②)。

 では、買主が分担する不動産売買契約における固定資産税清算金(未経過固定資産税等)は、消費税法上どのように取り扱われるのでしょうか。固定資産税清算金が消費税の課税の対象となるかが問題となります。

 この点について、消費税法基本通達(10-1-6)では、「不動産売買の際に、売買当事者の合意に基づき固定資産税・都市計画税の未経過分を買主が分担する場合の当該分担金は、地方公共団体に対して納付すべき固定資産税そのものではなく、私人間で行う利益調整のための金銭の授受であり、不動産の譲渡対価の一部を構成するもの(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭)として課税の対象」となる、とされています。

 つまり、①国内で、②事業者が利益調整のための事業として、不動産の譲渡に伴い、固定資産税精算金を譲渡対価と別に受領している場合、③④⑤不動産の譲渡対価の一部として金銭を授受していることになるため、その固定資産税精算金相当額は、①~⑤の全ての要件を満たす取引として、消費税の課税の対象となります。

 したがって、買主が分担する土地に係る固定資産税精算金は、土地の対価の額に含まれることになり、消費税法上は非課税売上となります。一方、建物に係る固定資産税精算金は、建物の譲渡対価の額に含まれることになり、消費税法上は課税売上として取り扱われます。