2020年

8月

10日

法人税法及びこれに関する法令・通達について

 税法は、税の納付に関する国と国民との間の法律関係を規律する公法です。国の行う課税処分等は、民事上の法律行為とは異なり、行政処分ですから、行政法の一般理論が適用されます。また、税は、その課税対象が国民の経済活動に求められるものであることから、税法は、他の多くの私法、中でも民法、商法、会社法に大きく関係しています。

 法人税法は、企業活動から生まれる所得をその課税対象としているため、商法及び会社法と深い関連があり、収益などについての計算規定で会社法と食い違う部分については、調整が図られています。

 法人税法は、納税義務者、課税標準、税率、申告、納付等について5編163条までの条文で以下のように構成されています。

 第1編 総則(第1条~第20条)

 第2編 内国法人の法人税(第21条~第135条)

 第3編 外国法人の法人税(第138条~第147条の4)

 第4編 雑則(第148条~第158条)

 第5編 罰則(第159条~第163条) 

 法人税に関する法令は、法人税法以外にも、法律の委任により又はこれを実施するために法人税法施行令(政令)、同法施行規則(省令)があり、これらが一体となって法人税法を形成しています。

 さらに、法人税法の特例として、政策的な配慮に基づく課税上の特例が租税特別措置法に設けられ、また、これらの法令の解釈や適用に関して、数多くの取扱通達が国税庁において定められています。なお、この他に各税法に共通な事項は国税通則法に規定されています。 

法人税法ーーーー法人税法施行令(政令)ー法人税法施行規則(省令)

                    —減価償却資産の耐用年数に関する省令

・租税特別措置法ー租税特別措置法施行令ーー租税特別措置法施行規則

・国税通則法ーーー国税通則法施行令ーーーー国税通則法施行規則 

 租税特別措置法は、税法の一般的な規定とは別に、特殊な場合の課税制度を定めており、この法律は、経済政策や社会政策上の見地から、一般の税法による課税の場合よりも税負担が軽く、又は重くなるような課税の特例を定めたものです。その中には、直接税だけに限らず、間接税も含まれていますが、主要なものは所得税と法人税の特別措置です。これらの特別措置は、そのほとんどが2年ないし3年の期間に限られたものですが、情勢によってその期間の更新が行われています。

 法人税関係の取扱通達としては、法人税基本通達、耐用年数の適用等に関する取扱通達、租税特別措置法関係通達(法人税編)があり、いずれも公表されています。これらの通達は、国税庁長官が国税局長に対し、法人税関係法令の解釈や適用に当たっての取扱いを指示したものです。職員はその取扱いに即して処理することが義務とされていますが、納税者までをも拘束するものではありません。しかし、実務上は、税務当局の解釈や取扱いが確認できること等から、その指針として重視されています。

 法人税法は、所得税法と比べて次のような特色があります。

① 所得の計算

  所得税法ー所得をその源泉により10種類に区分

      ー区分された所得の種類ごとにそれぞれ算出方法を規定

  法人税法ー所得の種類を区分せず、所得の算出方法も必要な事項の全てを規定せず

      ー相当部分を適正な企業会計の慣行に委ねている

      ー会社法や一般に公正妥当な会計処理の基準によって計算した企業利益を前提

② 所得の計算期間

  所得税法ー暦年を基準

  法人税法—法人が定款等によって定めた会計期間(事業年度)を基準

③ 税率

  所得税法ー超過累進税率

  法人税法—原則として単一税率

 (参考)国税庁 税大講本「税法入門」「法人税法」

2020年

7月

10日

解散法人の会社法手続について

1.解散・清算の概要

 会社とは、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいい(会社法2条1号)、会社は法人とされます(3条)。

 解散とは、会社の法人格の消滅を来たすべき原因となる事実をいい、清算とは、会社の法人格の消滅前に、①会社の現務を結了し、②債権を取り立て、債権者に対し債務を弁済し、③株主に対し残余財産を分配するなどの手続をいいます。

 解散に続いて、法律関係の後始末をする手続である清算が行われます。会社の法人格は、合併の場合以外については、解散により直ちに消滅するのではなく(476条、645条)、解散後に行われる清算・破産手続の完了の時に消滅します

 清算の目的は、会社のすべての権利義務を処理して残余財産を株主に分配するところにあり、会社は事業を継続することはできませんし、事業を前提とする諸制度や諸規制は適用されません。

 清算手続中の会社を清算株式会社といい、清算株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなされます(476条)。清算株式会社は、解散前の会社と同一の会社がそのまま継続し、ただその権利能力の範囲が清算を目的とするものに縮小されると考えられています。

2.解散

 株式会社は、株主総会の決議(特別決議309条2項11号)により解散します(471条3号)。株式会社は、事業の全部を譲渡しても当然には解散せず、解散をするためには解散の株主総会の決議が必要です。

 株主総会の決議により解散した場合、代表清算人は2週間以内に、その本店の所在地において、解散の登記をしなければなりません(926条)。解散により、株式会社は、合併及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除いて、清算をしなければなりません(475条1項1号)。

3.清算

⑴ 清算の種類

 清算は、株主及び会社債権者の利害に関係するため、法定の手続きによることを要します(法定清算)が、持分会社のうち合名会社及び合資会社は、社員間に人的信頼関係があり、かつ、社員が解散後も債権者に責任を負うことから(673条)、任意清算が認められています(668条以下)。法定清算は、裁判所の監督に属さない通常清算(475条~509条)と、裁判所の監督に服する特別清算(510条~574条)に分けられます。特別清算は、実質的に破産と並ぶ倒産処理方法の一種です。

⑵ 清算人

 清算株式会社では、株主総会や監査役はそのまま存続しますが、取締役はその地位を失い、清算人がこれに代わることになり、清算事務は清算人が行います。なお、株式は、解散後も自由に譲渡することができます。

 清算人は、定款で定める者又は株主総会の決議によって選任された者がある場合を除いて、解散時の取締役がそのまま清算人になります(法定清算人478条1項1号)。清算人に任期はなく、清算人の地位は、取締役とほぼ同じです(491条)。

⑶ 清算事務

 会社法は、清算人の職務権限として、①現務の結了、②債権の取立て及び債務の弁済、③残余財産の分配を挙げていますが(481条)、これらに限定されるわけではありません。ただし、清算株式会社の権利能力の範囲は縮小されて、清算の目的の範囲内にすぎなくなりますので、事業活動はできません。清算株式会社も、清算事務としてであれば、募集株式、募集新株予約権及び募集社債の発行をすることができますが、剰余金の配当(509条1項2号)や自己株式の取得(同項1号、3項)をすることはできません

 現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済の結果、残余財産があれば、清算株式会社は、株主に対し、原則として持ち株数に比例して分配します。清算株式会社は、債務を弁済した後でなければ、残余財産を株主に分配することはできません(502条)。

⑷ 清算手続

 解散の時点で継続中の事務を完結し、取引関係も完結します。そして、弁済期の到来した債権を取り立て、金銭以外の財産は換価し、債務の弁済をしますが、債権者保護のため、債権申出期間内(499条)は債務の弁済が制限されます(500条、501条)。

 清算株式会社は、清算事務が終了したときは遅滞なく、会社規則150条で定めるところにより、決算報告を作成し(会社法507条1項)、清算人はそれを株主総会に提出して、その承認を受けなければなりません(同項3項、929条1号)。清算株式会社の法人格は、清算事務終了後、上記株主総会の承認を得たときに消滅します(476条参照)。また、清算人は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から10年間帳簿資料を保存しなければなりません(508条1項)。

2020年

6月

10日

外国人の帰国時における個人住民税について

 住民税には、所得のある人が一律に負担する均等割とその人の所得金額に応じて負担する所得割とがあります。

 個人の住民税は、住民にとって身近な仕事の費用をそれぞれの負担能力に応じて分担し合うという性格の税金であり、所得税は法人や個人が税金を納めるしくみとなっているのに対し、個人住民税は市区町村が税金を計算して法人や個人に通知をし、税金を徴収するしくみとなっています。

 住民税は、前年中(1月1日~12月31日)の所得について、下記の人を対象にして課税されます。

〇1月1日現在で市区町村に住所を有する人(均等割と所得割)

〇1月1日現在で市区町村に住所を有していないが、市区町村内に事務所、事業所または家屋敷を有する人(均等割)

 このように住民税は、前年の所得に対して翌年に課税されるため、帰国のタイミングによっては、納税方法が異なる場合が生じます。例えば、2020年に米国に帰国した給与所得者の場合には、下記のようにケースごとに2019年度と2020年度の住民税を納付する義務があります。

1.2019年度の住民税

・2019年1月1日に居住している人に課税される。

・2019年6月~2020年5月の給与で会社が特別徴収する。

 ①2020年5月までに帰国

 ・退職時の給与で一括徴収し、会社を通じて納付する、または

 ・普通徴収に切り替えて、本人が納付する。

 ②2020年6月以降に帰国

 ・2020年5月まで会社が特別徴収することにより納付は完了する。

2.2020年度の住民税

・2020年1月1日に居住している人に課税される。

・2020年6月~2021年5月の給与で会社が特別徴収する。

 ①2020年5月までに帰国

 ・会社で特別徴収するのは、2020年6月以降であるため、本人が納付する。

 ②2020年6月以降に帰国

 ・退職時の給与で一括徴収し、会社を通じて納付する、または

 ・普通徴収に切り替えて、本人が納付する。

 ここで、従業員(納税義務者)が転勤、退職、休職、死亡等により、給与の支払を受けなくなった場合は、特別徴収ができなくなった旨を、給与支払者(特別徴収義務者)から「給与所得者異動届出書」の提出により届け出る必要がありますが、この届出書に記載された住所先に住民税の納付書が送達されることになります。

 納税義務者が出国により納税等ができなくなる場合は、「納税管理人申告書兼承認申請書」により、納税管理人の届け出が求められ、納税管理人とは、納税義務者から納税に関する手続き(書類の受け取り、納税、還付金の受領など)を委託された人をいい、法人等の事業所を指定することもできます。 

 なお、本人の住民税を会社が負担した場合、本人の所得とみなされ、20.42%の税率で源泉徴収義務が発生することにも留意が必要です。

2020年

5月

10日

米国のコロナ経済的影響支払金(Economic Impact Payments)

 米国市民や米国居住者は、コロナウイルス援助、救済、および経済的安全保障法(CARES法)によって認可された経済的影響支払金(Economic Impact Payments)を受け取ることができます。

 米国内国歳入庁(IRS)は、継続して計算を行い、資格のあるほとんどの人に自動的に支払金を送付していますが、一部の人は、支払いを受けるためにIRSに追加情報を提供しなければならない場合があります。

 米国市民及び米国居住者は、他の納税者の被扶養者ではなく、就労資格のある社会保障番号(SSN)を持ち、調整総所得(adjusted gross income)が次の金額を超えない場合、1,200ドル又は2,400ドル(夫婦合算申告)の経済的影響支払金が支給されます。

 

・夫婦合算申告(married couples filing joint returns)は150,000ドル

・世帯主の申告者(head of household filers)は112,500ドル

・その他の場合(all other eligible individuals)は75,000ドル

 

 納税者は、調整総所得がこれらの金額を超えた場合であっても、5%減額された支払金を受けることができます。

 適格退職者や適格受給者は、確定申告をしていなくても、自動的に1,200 ドルの支払いを受けることになります。

 ただし、住民基本台帳に記録されているすべての人が対象となる日本の特別定額給付金と異なり、以下のいずれかに該当する高所得者などの一部の申告者は経済的影響支払金の対象から除外されています。

 

・適格となる子供がおらず、調整後の総所得が以下よりも多い場合

 夫婦合算申告(married couples filing joint returns)は198,000ドル

 世帯主の申告者(head of household filers)は136,500ドル

 その他の場合(all other eligible individuals)は99,000ドル

・雇用のために有効な社会保障番号を持っていない場合

・非居住者(nonresident alien

・2019年にForm 1040-NR、1040NR-EZ、1040-PR、1040-SSを提出している場合

・投獄された個人(An incarcerated individual

・死亡した個人(A deceased individual

・相続や信託(estate or trust

 

 国外に居住する米国市民は、この支払いの対象となります。前述のとおり、Form 1040またはForm 1040-SRを提出する資格のある人は、有効なSSNを持っており、他の納税者の扶養家族として請求できない場合は、誰でも対象となります。Form 1040-NRまたはForm 1040-NR-EZを提出している、または提出しようとしている非居住者は、この支払いの対象とはなりません。

2020年

4月

10日

仮決算による消費税の中間申告について

 消費税の課税期間は原則として1年ですが、中間申告制度が設けられています。

 中間申告書の提出が必要な事業者は、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度(前課税期間)の消費税の年税額が48万円を超える者です。この年税額には、地方消費税額は含みませんが、中間納付税額と併せて地方消費税の中間納付税額を納付することになります。ただし、課税期間の特例制度を適用している事業者は、中間申告書を提出する必要はありません。中間申告は直前の課税期間の確定消費税額に応じて、①中間申告の回数、②中間納付税額、③中間申告提出・納付期限は、次のようになります。

1.48万円以下

 原則、中間申告不要、任意の中間申告制度あり

2.48万円超から400万円以下

 ①年1回、②直前の課税期間の確定消費税額の6/12、③各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内

3.400万円超から4,800万円以下

 ①年3回、②直前の課税期間の確定消費税額の3/12、③各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内

4.4,800万円超

 ①年11回、②直前の課税期間の確定消費税額の1/12、③年11回の中間申告の申告・納付期限は、個人事業者は、1月から3月分は5月末日で、4月から11月分は中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内です。法人は、その課税期間開始後の1月分はその課税期間開始日から2月を経過した日から2月以内で、その1月分以後の10月分は中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内です。

 上記に代えて、中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付すべき消費税額及び地方消費税額を計算することもできます。申告の負担は大きくなりますが、前期に比べ業績が著しく悪化しており、資金繰りの改善が求められる場合には、消費税額を下げられる可能性があります。この場合、計算した税額がマイナスとなっても還付を受けることはできません。また、仮決算を行う場合にも、簡易課税制度の適用があります。

 一般課税の場合、課税期間の課税売上高が5億円を超えると、課税売上割合が95%以上であっても100%でない限り、その課税仕入れに係る税額を全額控除できません。課税期間が1年未満の場合、その課税期間における課税売上高を年換算して5億円を超えるかどうかを判定しなければなりません。仮決算による中間申告をする場合、この課税期間の課税売上高は、年換算して判定することになります。例えば、消費税の中間申告が11回であれば、課税期間が1月です。したがって、その課税期間の課税売上高が500万円であれば、500万円×12=6億円となり、全額控除できないこととなります。

 ここで、「基準期間」とは、個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいいます(消費税法2条⑭)。また、「課税期間」とは、個人事業者については1月1日から12月31日までの期間で、法人については事業年度です(法14条Ⅰ①②)。仮決算は、中間申告対象期間を一課税期間とみなす制度ですから(法43条)、法14条の例外規定で、法2条の「事業年度」に変更はありません。よって、「基準期間」には、変更がありません。

 確定申告による中間納付税額の調整として、中間申告による納付税額がある場合には、確定申告の際にその納付税額が控除され、控除しきれない場合には還付されることになります。

2020年

3月

10日

米国公認会計士(US CPA)の更新について

 米国公認会計士(US CPA)のライセンスは永久資格ではありません。各州の規定に従って定期的にライセンスを更新しなければなりません。

 例えば、ワシントン州(Washington State)では、ライセンスを認定された個人はすべて、3年ごとに翌年1月1日から4月30日までに更新する必要があります。CPA Verifyにアクセスすれば、資格情報の有効期限を確認することができます。

 資格の有効期限が切れる前の年の12月31日までに、必要な継続専門教育(CPE)を完了して更新を行います。ワシントン州では、ライセンスまたは更新申請を提出する前に継続専門教育を完了する必要があります。2020年1月1日から有効なCPEクレジット時間の年間最小値が20クレジットにルール変更されました。従来は、3年間のトータルで120クレジットを取得すればよく、年間最小値は定められていなかったため、更新が大変になりました。

 新ルールの下でも、日本人がよく利用しているCPE depotといったCPEクレジット業者を選定し、自分の業務に関連したり、興味があるアカウンティングや監査、税務などのクレジットを取得すること自体には変更はありません。ただ、3年分をまとめて1年でクレジットを取得することは認められなくなりました。これにより、クレジットを取得するための年間当たりの費用は増加しますが、CPEクレジット業者を12月31日にまたがって更新するなどして工夫をすれば、その費用を少しでも削減することは可能です。

 3年ごとに個人のライセンスに求められるCPEの要件は以下のとおりです。

・1年間に最小20時間(20 CPE credit hour annual minimum

・ワシントン州が認定した倫理コースを含んで合計120時間

120 hours of CPE Including a Board Approved Washington State Ethics Course

 SecureAccess Washingtonからオンラインアカウントにログインし、更新申請を完了します。更新料は230ドルですが、4月30日以降に更新申請する場合には、100ドルの延滞料が含まれます。

 オンライン更新申請中に、修了したワシントン州倫理コースを入力するように求められます。CPE監査に選ばれたことが通知された場合にのみ、CPE文書を提出しなければなりません。また、クレジットを請求するレポート期間の終了後、3年間は記録を保持する必要があります。6月30日までに更新しない場合、資格は失効してしまうことになります。

 日本の公認会計士(JP CPA)には更新の制度はありませんが、毎年の継続教育が義務付けられており、年会費は10万円以上かかります。このことからすると、事実上、毎年継続教育を行ったうえで、年間10万円以上の更新料を支払っていることと同視でき、米国の公認会計士の維持費は相対的にはまだ低いものであると考えられます。

2020年

2月

10日

日米の離婚扶養料に係る所得税について

 日米租税条約第17条第3項は、「書面による別居若しくは離婚に関する合意又は別居、離婚等に伴う扶養料等に関する司法上の決定に基づいて行われる配偶者若しくは配偶者であった者又は子に対する定期的な金銭の支払であって、一方の締約国(米国)の居住者から他方の締約国(日本)の居住者に支払われるものに対しては、当該一方の締約国(米国)においてのみ租税を課することができる。ただし、当該支払が、当該一方の締約国(米国)において当該支払を行う個人の課税得の計算上控除することができない場合には、いずれの締約国においても租税を課することができない。」と定めています。

 米国の居住者から日本の居住者に支払われる離婚等に伴う扶養料については、米国でのみ課税することができるとされていますが、米国の居住者が所得控除を使用できない場合には、日米双方で課税できないとされています。

 したがって、日本の居住者が米国の居住者から離婚等に伴う扶養料を受け取る場合、米国の居住者である支払者が、米国で所得控除を行っていれば、米国に非居住者としての連邦所得税の申告が必要になります。 

 米国では、離婚合意に基づいて元配偶者に支払う離婚支払金は、一般的には、連邦所得税における離婚等に伴う扶養料(Alimony)と扱われ、離婚等に伴う扶養料は、もし支払者が納税者であれば、所得控除の対象になります。一方、受け取った配偶者は、その額を申告時において所得に含めなければなりません。

 2019年以降に支払いが開始される離婚等に伴う扶養料は、支払者が所得控除できなくなりましたが、受取者も所得に含める必要がなくなりました。

 2018年以前に離婚合意していた方についても離婚協議の内容を変更し、申告時に支払者は所得控除をせず、受取者も所得に含めないということを宣言すれば同様の取り扱いができることになります。

 ただし、上記変更の取り扱いは連邦所得税に関するものであり、州税については各州によって異なります。例えば、カリフォルニア州(California State)では従来どおり、受け取った離婚等に伴う扶養料はカリフォルニア州の所得として所得税の申告をする必要があります。

 日本では、子供への養育費については、所得税法上、受取者も支払者も非課税とされていますが、配偶者への離婚に伴う財産分与はそのやり方によっては課税されるケースがありますので、注意が必要です。

2020年

1月

10日

解散法人の税務申告手続について

1.普通清算手続

 株式会社は、株主総会の特別決議により解散することになり(会社法472条4号)、この場合、引き続いて清算をしなければなりません(475条1号)。

 清算中の株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまで存続するものとみなされるので(476条)、従前の複雑な機関設置は行われず、通常は株主総会と代表取締役が横滑りした清算人が清算会社の機関となります(477条、478条)。

 清算人は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより解散日における財産目録及び貸借対照表を作成しなければならないこととされています(492条)。税務の場合は、上記の計算書類に加えて、損益計算書と株主資本等変動計算書も作成しなければなりません。

 清算会社は、解散後、遅滞なく、清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内に(2ヶ月以上の期間)その債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者(帳簿上認識できる債権者)には、各別にこれを催告しなければなりません(499条1項)。

 2.解散法人の事業年度

 会社が解散をした場合には、その事業年度開始の日から解散の日までを一つの事業年度とみなし(解散事業年度)、その後は解散の日の翌日から1年ごとの期間が清算中の事業年度(清算事業年度)となります(連結納税の適用を受けている場合を除きます)。また清算中の事業年度の途中で残余財産が確定した場合は、その事業年度の開始の日から残余財産の確定の日までが一つの事業年度(残余財産確定事業年度)となります。

 解散事業年度及び清算事業年度に係る確定申告書の提出期限は事業年度終了の日の翌日から2月以内となります。また確定申告書の提出期限の延長の特例の適用もあります。

 一方、残余財産確定事業年度に係る確定申告書の提出期限は確定した日の翌日から1月以内(その期間内に残余財産の最終分配が行われる場合には行われる日の前日まで)となり、期限延長の特例の適用はありません。

 3.解散法人の所得計算

 解散事業年度の所得金額は通常の事業年度と同じく益金の額から損金の額を控除した金額です。しかしながら、決算期間は12カ月未満となることが多いため、減価償却費など月割計算などが必要となる項目があります。また租税特別措置法で認められている特別償却や準備金の設定など適用できない制度があります。

 清算事業年度の所得金額は通常事業年度と同じく益金の額から損金の額を控除した金額となります。租税特別措置法上の準備金の設定など適用できない制度があります。

また、平成22年税制改正により会社解散における課税方式が財産法から損益法へ改正されています。

 残余財産確定事業年度の所得金額は清算事業年度と同じく益金の額から損金の額を控除した金額となります。解散法人の申告はこの残余財産確定事業年度の確定申告をもって終了しますので、引当金の繰入れができないなど清算事業年度と異なる部分もあります。また、事業税の損金算入については、翌年度が存在しないことから残余財産確定事業年度の事業税等の額はその年度の損金に算入することとなります。