2021年

4月

10日

源泉所得税の納期の特例と不納付加算税について

 給与、報酬などの特定の所得の支払者が、その所得の支払をする際に、所定の方法により所得税額を計算し、支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付する制度を、「源泉徴収制度」といいます。

 源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっていますが、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を行うことにより、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者は、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税について、次のように年2回にまとめて納付できるという特例制度を受けることができます。

・1月から06月までに支払った所得から源泉徴収をした分:当年7月10日

・7月から12月までに支払った所得から源泉徴収をした分:翌年1月20日

 ここで、源泉徴収等による国税が法定期限内に納付されなかった場合について、国税通則法第67条には、以下のように規定されています。

 「源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかった場合には、税務署長又は税関長は、当該納税者から、納税の告知(第36条第1項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)をいう。次項において同じ。)に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。

2 源泉徴収等による国税が納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があったことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないときは、その納付された税額に係る前項の不納付加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付された税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額とする。

3 第1項の規定は、前項の規定に該当する納付がされた場合において、その納付が法定納期限までに納付する意思があったと認められる場合として政令で定める場合に該当してされたものであり、かつ、当該納付に係る源泉徴収等による国税が法定納期限から1月を経過する日までに納付されたものであるときは、適用しない。」

 納期の特例を受けている場合、不納付加算税の対象金額が半年分と多くなりますが、同条第2項では、納税の告知を受けることなく自主的に納付した場合は、10%ではなく、5%の不納付加算税が課せられ、同条第1項及び第3項では、①正当な理由があると認められる場合、②法定納期限までに納付する意思があったと認められ、かつ1月以内に納付した場合には、不納付加算税が課されないこととされています。

 ①の正当な理由があると認められる場合とは、例えば、源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由のない場合や災害、交通・通信の途絶その他法定納期限内に納付しなかったことについて真にやむを得ない事由があると認められる場合ですが、税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくものはこれに当たりません(事務運営指針)。

 ②の期限内申告書を提出する意思等があったと認められる場合とは、法定納期限の属する月の前月の末日から起算して1年前の日までの間に法定納期限が到来する源泉徴収等による国税について、納税の告知を受けたことがなく、かつ納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された事実がない場合をいいます(同法施行令第27条の2)。

2021年

3月

10日

青色申告特別控除について

 青色申告は、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる申告の制度で、青色申告をすることができる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。

 青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような正規の簿記によることが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいことになっています。

 青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除(租税特別措置法25条の2)があります。

1.55万円の青色申告特別控除

 この55万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。

(1)不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。

(2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。

(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。 

 不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額が55万円より少ない場合には、その合計額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいい、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。控除の順序は、不動産所得の金額、事業所得の金額から順次控除(同法基本通達25の2-1)します。

2.65万円の青色申告特別控除

 この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。

(1)上記1の要件に該当していること

(2)次のいずれかに該当していること

① その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること(電子帳簿保存法施行規則第3条第1項参照)。

② その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。

3.10万円の青色申告特別控除

 この控除は、上記1及び2の要件に該当しない青色申告者が受けられます。

4.留意点

 不動産所得を生ずべき業務が、事業的規模で行われていない場合には、1(2)の「事業」に該当しない(所得税法基本通達26-9)ため、55万円(65万円)の青色申告特別控除を適用することはできず、10万円の青色申告特別控除が適用されることになります。ただし、不動産所得又は事業所得を生ずべき事業のいずれか一方があれば55万円(65万円)の控除を受けることができます(租税特別措置法25条の2第3項)。

 したがって、事業所得と不動産所得が両方ある場合には、不動産貸付けの規模にかかわらず、55万円(65万円)控除の要件を満たすことになります。

 なお、事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいい、事業所得であれば1(2)の「事業」に該当することになります。

 また、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算しますので(同法基本通達25の2-1)、事業所得が赤字であっても。事業的規模に関わらず不動産所得から55万円(65万円)の控除を受けることができます。 

2020年

4月

10日

仮決算による消費税の中間申告について

 消費税の課税期間は原則として1年ですが、中間申告制度が設けられています。

 中間申告書の提出が必要な事業者は、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度(前課税期間)の消費税の年税額が48万円を超える者です。この年税額には、地方消費税額は含みませんが、中間納付税額と併せて地方消費税の中間納付税額を納付することになります。ただし、課税期間の特例制度を適用している事業者は、中間申告書を提出する必要はありません。中間申告は直前の課税期間の確定消費税額に応じて、①中間申告の回数、②中間納付税額、③中間申告提出・納付期限は、次のようになります。

1.48万円以下

 原則、中間申告不要、任意の中間申告制度あり

2.48万円超から400万円以下

 ①年1回、②直前の課税期間の確定消費税額の6/12、③各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内

3.400万円超から4,800万円以下

 ①年3回、②直前の課税期間の確定消費税額の3/12、③各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内

4.4,800万円超

 ①年11回、②直前の課税期間の確定消費税額の1/12、③年11回の中間申告の申告・納付期限は、個人事業者は、1月から3月分は5月末日で、4月から11月分は中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内です。法人は、その課税期間開始後の1月分はその課税期間開始日から2月を経過した日から2月以内で、その1月分以後の10月分は中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内です。

 上記に代えて、中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付すべき消費税額及び地方消費税額を計算することもできます。申告の負担は大きくなりますが、前期に比べ業績が著しく悪化しており、資金繰りの改善が求められる場合には、消費税額を下げられる可能性があります。この場合、計算した税額がマイナスとなっても還付を受けることはできません。また、仮決算を行う場合にも、簡易課税制度の適用があります。

 一般課税の場合、課税期間の課税売上高が5億円を超えると、課税売上割合が95%以上であっても100%でない限り、その課税仕入れに係る税額を全額控除できません。課税期間が1年未満の場合、その課税期間における課税売上高を年換算して5億円を超えるかどうかを判定しなければなりません。仮決算による中間申告をする場合、この課税期間の課税売上高は、年換算して判定することになります。例えば、消費税の中間申告が11回であれば、課税期間が1月です。したがって、その課税期間の課税売上高が500万円であれば、500万円×12=6億円となり、全額控除できないこととなります。

 ここで、「基準期間」とは、個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいいます(消費税法2条⑭)。また、「課税期間」とは、個人事業者については1月1日から12月31日までの期間で、法人については事業年度です(法14条Ⅰ①②)。仮決算は、中間申告対象期間を一課税期間とみなす制度ですから(法43条)、法14条の例外規定で、法2条の「事業年度」に変更はありません。よって、「基準期間」には、変更がありません。

 確定申告による中間納付税額の調整として、中間申告による納付税額がある場合には、確定申告の際にその納付税額が控除され、控除しきれない場合には還付されることになります。