不動産登記の概要について

 不動産登記制度とは、不動産登記法第1条にあるように不動産の表題及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度のことであり、この制度により、国民の権利の保全を図り、取引の安全と円滑に資することを目的としています。

 不動産に関する登記は、不動産の表示に関する登記と不動産の権利(所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権及び採石権の9種の権利)に関する登記の2種に大別されます(不動産登記法第3条)。

 この両者の登記は、それぞれ別個独立にされるものであり、前者の不動産の表題に関する登記は、不動産の権利の客体とされる土地及び建物の状況を明確にするための登記として、また、後者の不動産の権利に関する登記は、その権利を第三者に対抗(民法第177条)するための登記としてされるものです。

 登記所において保管する不動産の状況等を公示する公証資料には、土地及び建物の登記事項証明書をはじめ、地図(地図に準ずる図面)、建物所在図、各種図面、閉鎖登記簿、その他の各種諸帳簿等があり、それぞれ分担する役割の下に、不動産の同一性の識別とその状況等を広く提供しています。

 登記記録は、不動産の同一性の識別とその状況及び不動産に関する権利の内容を明らかにする公証資料であり、不動産に関する登記記録は、1筆の土地又は1個の建物ごとに作成されるものです。

 不動産登記法第14条は、「登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする」としており、土地登記記録では、その表題部により土地一筆ごとの地番・地目・地積が明らかにされています。しかしながら、それらの情報だけでは、実際にその土地がどこに位置し、どういう形状をしているかということは判断できません。そこで、登記所に地図を備えることによりそのことを明らかにしようとしています。