米国不動産を売却した場合のふるさと納税

 日本の居住者が米国の不動産を売却した場合には、全世界課税が行われ、国内法に基づいて譲渡所得が発生することになります。納税者が総合課税の給与所得と分譲課税の譲渡渡所得の両方の所得がある場合には、ふるさと納税の上限額はそれぞれの所得に基づいて計算されることになります。

 ふるさと納税を行うと、寄附金のうち2千円を超える部分は、一定の上限まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除されますが、寄付金の全額が控除されるわけではなく限度額があり、また、そもそも控除されるだけの所得税や住民税が発生していなければなりません。

 ふるさと納税の控除額は、以下のように計算されます。なお、平成49年までの所得に係る所得税率は、復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加算した率となります。

➀所得税寄附金控除(所得控除)

(寄附金-2千円)を所得控除 →(控除額×所得税率 × 1.021)が軽減 ※1

➁住民税基本控除(税額控除)

(寄附金-2千円)× 10% ※2

➂住民税特例控除(税額控除)

(寄附金-2千円)×(90%-所得税率 × 1.021) ※3

 

※1 ➀の所得税寄附金控除の控除対象寄付金は総所得金額等の40%が限度です。
※2 ➁の住民税基本控除の控除対象寄附金は総所得金額等の30%が限度です。
※3 ➂の住民税特例控除は、住民税所得割額の20%が限度です。

 

 上記のとおり、➂の住民税特例控除額は、個人住民税所得割額の2割が限度となっているので、「➂住民税特例控除額 = 個人住民税所得割額 × 20%」のとき、2千円を超える部分が全額控除となる寄附金の限度額となります。

 寄附金限度額をXとすると、次の計算式が成り立ちます。
➃(X-2千円)×(90%-所得税率×1.021)= 個人住民税所得割額 × 20%
 これを展開すると、次の計算式により、寄附金限度額を求めることができます。
➄X= 個人住民税所得割額 × 20% ÷(90%-所得税率×1.021)+2千円


 上記の➄の計算式のとおり、寄附金限度額Xは、所得税率と個人住民税所得割額によって決まります。
 所得税の税率は、課税所得の増加に応じて高くなるように設定されており、その納税者に適用される税率を用います。申告分離課税を合わせて課税される場合も総合課税の税率によります。

 以上のように、日本の居住者が米国の不動産を売却した場合には、日本で譲渡所得が発生し、譲渡所得の住民税額も発生するため、ふるさと納税の限度額は給与所得のみの場合と比較して、増加することになります。