連結子法人が合併により解散した場合の取り扱い

 連結親法人が連結子法人を吸収合併した場合には、その資産等の引き継ぎ等については、原則として単体納税における合併と同様の取り扱いを受け、通常は100%親子会社間合併のため適格要件を満たし(法人税法2条12の8号、法人税法施行令4の3条2項)、適格合併として処理されます(法人税法62の2条、67の7条1項)。 

 連結子法人の合併による解散があった場合には、その合併の日において、その連結子法人の連結納税の承認が取り消されたものとみなされます(4の52条4項)。

 また、連結子法人が連結事業年度の中途において合併により解散した場合には、みなし事業年度が生ずることとなり(14条1項9,10号)この期間は、連結事業年度に含まれないこととされています(15の2条1項2号)。

 したがって、当該連結子法人は合併した日の前日の属する連結事業年度開始の日から合併の日の前日までのみなし事業年度について、連結法人として単体申告を行うこととなります。なお、合併日の前日が連結事業年度終了日である場合には、合併日の前日までは連結事業年度となり、連結申告を行うことになります(15の2条1項かっこ書)。

 「連結法人としての単体申告」とは、連結納税の承認は有効であっても他の連結法人と申告の時期が異なることからその法人単体で申告することをいい、単体申告であっても連結法人としての取り扱いのうちの一部が適用されます。例えば、連結申告特有の所得の合算等は適用されませんが、連結納税グループ内の金銭債権に対する貸倒引当金の繰入は不可とする規定などは適用されることになります。

 最後事業年度に当該連結子法人に所得が発生した場合には、当該連結子法人の連結欠損金個別帰属額を単体納税の繰越欠損金とみなして繰越控除を行うことができますが(57条6項)、他の連結法人の連結欠損金個別帰属額を控除することはできません。また、連結子法人で最後事業年度に欠損が発生した場合には、その欠損金額を合併の日の属する連結事業年度において合併法人である連結親法人の損金に算入することができます(81の9条4項)。

 連結納税中に繰り延べた譲渡損益がある場合には、完全支配関係のあるグループ内の適格合併により解散する場合を除き、それを計上しなければなりませんが(61の13条3項)、当該連結子法人が関税支配関係のあるグループ内の適格合併により解散する場合には、譲渡損益は合併法人である連結親法人に引き継がれ、被合併法人である連結子法人において譲渡損益の戻し入れは行わず、合併法人において譲渡等が実現するまで繰り延べることになります(61の13条3項1号)。

 解散が合併又は破産手続開始の決定による解散ではない場合には、連結子法人の連結納税の承認が取り消されることはなく、また、みなし事業年度が生じないことから、連結親法人は、解散日を含む連結事業年度において、連結子法人の個別益金額又は個別損金額などを含めて連結確定申告を行うこととなります。連結子法人の残余財産の確定があった場合には、その残余財産の確定の日の翌日において、連結子法人の連結納税の承認が取り消されたものとみなされます(4の52条4号)。

 連結子法人の連結事業年度の中途において残余財産が確定した場合には、その連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間について、みなし事業年度が生ずることとなり(141条10号)、この期間は、連結事業年度に含まれないこととされています(15の21条2号)。

 連結子法人が吸収合併により消滅した場合、当該連結親法人は、「連結完全支配関係を有しなくなった旨を記載した書類」を遅滞なく、所轄税務署長に提出しなければなりません。